新型コロナウイルス感染症との戦いにより浮き彫りとなった我が国の課題を克服し、強靭なデジタル社会を実現するためには、行政のDXを強力に推進していく必要があります。
特に、地方公共団体のDX推進に際しては、地域住民や事業者の利便性向上のため、国が9月に設立するデジタル庁の取組等と軌を一にし、都民と行政との間や行政間の手続を電子化するなど、多岐にわたる課題を解決していくことが重要となります。
東京都は、このたび、地方公共団体の実情を踏まえた円滑なデジタル化やDX推進が行われるよう、以下の6事項を国に要望します。
今後も引き続き、DX推進に関する要請を国に対して行っていくとともに、都庁自らも、DXの推進を梃子として制度や仕組みの根本まで遡った構造改革を徹底的に推進し、都政のQOSを飛躍的に高めてまいります。
~ 要望事項 ~
1. 自治体のクラウド利用推進
・自治体のデジタル化を強力に推進するため、SaaSを含むパブリッククラウド活用に向けたガイドライン等を提示すること
・地方公共団体職員にとって使いやすいものになるよう、LGWAN(総合行政ネットワーク)改善に向けた必要な財源を措置すること
2. ベース・レジストリの整備、オープンデータ・オープンソースの推進
・行政が保有する社会基盤データ(ベース・レジストリ)の強力な整備を推進すること
・オープンデータが、ユーザー視点に立ち利用しやすいものとなるよう、データ活用促進に向けた標準化を推進するとともに、地方公共団体職員に対する啓発支援を行うこと
・オープンソースの促進によりコードの再利用を推進すること
・行政手続のデジタル化によるワンスオンリーやスマートシティの実現に向けて、国のデータを積極的にオープン化すること
3. インターネット環境の更なる普及
・教育、社会インフラとしての高速ネット環境を整備するため、5G基地局等設置に係る必要な財源を確保すること
・社会インフラとして全ての家庭における通信環境を整備するため、低所得者世帯等に対して必要な措置を講じること
4. 自治体のデジタル化に向けた財政支援
・地方の取組に差が生じないよう、地方の裁量で活用可能な交付金制度を創設し、地方全体の取組を財政的に支援すること
5. 速やかなデジタル化と制度改正
・法定受託事務等、国の責任においてデジタル化を進めるべきものについては、速やかにデジタル化を進めること。
・行政手続のデジタル化を効率的に進めるために、押印廃止や添付書類の見直しなどを行うこと
6. 現場の声を反映したデジタルサービス
・自治体と連携した基盤を構築するとともに、地方公共団体ごとの取組に差が生じることがないよう、必要な財源を確実に措置すること
・全国統一的なシステムの構築に当たっては、各地方公共団体の意見を十分集約した上で、利用しやすいシステムとするなど、ユーザーフィードバックの視点を取り入れること