本プロジェクトでは、協働に取り組むフィールドの大幅な拡大、デジタル技術を活用して市民や企業が参加できる場の創出、先進的・効果的なソリューションの積極的な導入等を通じて、都政のあらゆる分野でオープンイノベーションを実践していきます。
1.スタートアップとの協働
スタートアップ戦略「Global Innovation with STARTUPS」の更なる推進に向けて、都庁内で局横断的に編成されたワンチーム“Team Tokyo Innovation”が、スタートアップと共に社会の変革と成長を生み出すための取組を展開しています。
進捗状況(2023年10~12月)
(1)スタートアップ戦略の推進
スタートアップとの協働を進めるためには、スタートアップの成長や活動を支援し、スタートアップとの交流機会を創出していくことが重要です。
①「Tokyo Innovation Base」キックオフイベントを開催(11月27日)
<TIB プレオープンイベント>
東京からイノベーションを巻き起こすことを目指して、国内外からスタートアップやその支援者が集い交流する一大拠点Tokyo Innovation Base(TIB)がプレオープンしました。
その門出を飾る「TIBプレオープンイベント」には、政府関係者をはじめ国内外からスタートアップの支援に関わる方々にご参加いただきました。
TIBでは、2024年5月の本格オープンに向けて、スタートアップの挑戦を後押ししてくれる仲間や支援者、先輩起業家など様々なプレイヤーとつながることができるイベントや支援プログラムを展開しています。また、こうした活動を東京都と連携しながら担っていただける企業・団体、大学などの方々を、「TIBパートナー」として募集しています。
<スタートアップ・エコシステム・サミット 2023>
「スタートアップ・エコシステム・サミット」は、スタートアップ支援に関わる様々なプレーヤーが交流し、東京のスタートアップ・エコシステムの発展につなげていくイベントです。
2回目の開催となる今回はTIBのキックオフイベントとして開催し、国内のみならず海外のスタートアップ関係者にも参加いただくとともに、トークセッションやエコシステムプレーヤーによる事業紹介に加え、新たにスタートアップがVCからメンタリングを受けることができるプログラム(投資家と起業家の交流を生み出す壁打ちイベント)を実施するなど、内容も拡充しました。
キックオフイベントの参加者は800名以上にのぼり、本当にたくさんの方々がスタートアップ支援に関わっていること、そして何より、ともにスタートアップを盛り上げていこう!という、皆さんの熱い思いを実感できる1日となりました。
② UPGRADE with TOKYO 行政職員向けセミナーを開催(第3回:11月6日、第4回:12月22日)
スタートアップとの協働に関する東京都の各種制度を行政職員に紹介し、具体的な協働イメージを持ってもらうことで、スタートアップとの連携をより一層進めていくことを目的としたセミナーを開催しました。
セミナーでは、スタートアップによるサービスの紹介や、行政とスタートアップとの協働事例の紹介を行い、東京都や区市町村で働く行政職員など、約90名(延べ人数)が参加しました (オンライン参加を含む)。
③ 現場対話型スタートアップ協働プロジェクト
都政現場が抱える多種多様な課題について、優れた技術を有するスタートアップと現場をマッチングして協働プロジェクトを組成し、対話を重ねながら解決を図っていく取組を開始しました。
都政現場が掲げた10個の課題について、現場職員と協働するスタートアップを募集し、応募者との対話を踏まえ、各協働プロジェクトに参画するスタートアップを採択しました。
局(現場) | テーマ(課題) | 採択スタートアップ |
---|---|---|
都市整備局(都市づくり政策部緑地景観課) | 都民も観光客も楽しめる歴史的建造物の情報発信と、来訪者増加につながる分析ツールを導入したい! | 株式会社ホーン |
住宅政策本部(住宅企画部企画経理課) | 「東京での暮らし・住まいの魅力」を若者・子育て世帯にもアピールするため、Instagramを効果的に運用したい! | ネクスター株式会社 |
福祉局(障害者支援施設 希望の郷 東村山) | 職員の緊張や不安をバイタル情報等から把握・通知できるツールを導入して、職員の支援力・対応力の向上を図りたい! | 株式会社ミルウス |
保健医療局(都立病院・多摩北部医療センター) | 記録補助ツール等を活用して適時適切な情報共有を図り、医療の質・患者サービスの向上につなげたい! | 株式会社BONX / kanata株式会社 |
建設局(総務部企画課) | 測量データからスピーディに3Dモデルを作って、住民等関係者にわかりやすく道路整備の完成イメージを伝えたい! | 峰設計株式会社 |
港湾局(港湾整備部技術管理課) | 撮影したドローン映像・写真の自動整理や3Dモデル化を通じて、現場に行かなくても港湾施設の外観・形状等を確認したい! | Cellid株式会社 / CalTa株式会社 |
交通局(電車部) | デジタル技術を使って地下鉄の乗客量を効率的に把握して、混雑状況の把握やダイヤの設定に活かしたい! | Idein株式会社 / 株式会社Present Square |
下水道局(計画調整部技術開発課) | 枚数が多い、かつ緻密さが必要とされる工事設計書のチェックを支援するAIツールを導入して、業務効率化を図りたい! | 株式会社エムニ |
教育庁(都立北豊島工科高校) | 全国初設置!北豊島工科高校「都市防災技術科」の教育内容を一緒に作りたい! | 株式会社ミエタ / 株式会社中央地学 |
東京消防庁(消防学校) | 庁舎図面をデジタル化して、修繕工事の設計や工事業者との打合せなど、建物管理のDXを進めたい! | 株式会社Liberaware / 峰設計株式会社 |
(2)UPGRADE with TOKYO ピッチイベント
都政課題の解決に向けて、これまでにない製品・サービスを提供するスタートアップによるピッチイベントを開催し、スタートアップが行政機関、VCや企業等と交流する場を創出することにより、課題の解決とスタートアップの成⾧を後押ししています。
① ピッチイベントを開催
第31回 | 2023(令和5)年10月3日(詳細はnoteをご覧ください) |
テーマ | 「子供から大人までが気軽にクリエイティブを体験できるコンテンツ」 |
優勝社 | MetaTokyo株式会社 |
提案内容 | 『みんなの作品をデジタルファッションにして世界のメタバースに拡げよう!』 ※ イベントの様子は、UPGRADE with TOKYOのホームページからご覧いただけます |
第32回 | 2023(令和5)年10月20日(詳細はnoteをご覧ください) |
テーマ | 「外濠の水辺再生事業や関連する歴史文化を体験できるコンテンツ」 |
優勝社 | 株式会社一旗 |
提案内容 | 『国指定史跡 江戸城外濠跡 プロジェクションマッピング』 ※ イベントの様子は、UPGRADE with TOKYOのホームページからご覧いただけます |
第33回 | 2023(令和5)年10月25日(詳細はnoteをご覧ください) |
テーマ | 「区内回遊促進のための先端技術の活用」 |
優勝社 | 株式会社RelyonTrip |
提案内容 | 『観光・飲食アプリ「SASSY」を活用した区内回遊促進施策』 ※ イベントの様子は、UPGRADE with TOKYOのホームページからご覧いただけます |
第34回 | 2023(令和5)年11月21日(詳細はnoteをご覧ください) |
テーマ | 「家庭と仕事の両立を目指す女性向けの再就職支援サービス」 |
優勝社 | エール株式会社 |
提案内容 | 『包括的支援のウーマンエコシステムを提供する働く女性のための専門校Aile Academy(エールアカデミー)』 ※ イベントの様子は、UPGRADE with TOKYOのホームページからご覧いただけます |
② 提案製品・サービスを活用した協働の実現
これまでに開催したピッチイベントで優勝したスタートアップが、都政現場と契約を締結し、ピッチイベントで提案した製品・サービスを活用して協働プロジェクトを開始しました。
2023年10~12月に実現した協働プロジェクト:2件
KDDIスマートドローン株式会社(第30回優勝社)のホームページ
(3)キングサーモンプロジェクト
グローバル市場を席捲する課題解決型のスタートアップ(キングサーモン企業)を東京から輩出し、先端事業によって東京の成長と社会課題の解決を目指しています。
第4期先行導入プロジェクト・スタートアップ企業決定(11月10日、12月25日)
第4期先行導入プロジェクトの協働プロジェクトとスタートアップ企業を採択しました。
都政現場 | 東京都交通局 | 大田区 | 東京都スタートアップ・国際金融都市戦略室 |
採択企業 | RYDE株式会社 | cynaps株式会社 | 株式会社Stroly |
協働プロジェクト概要 | アプリ「RYDE PASS」で東京さくらトラムのデジタル乗車券を販売 (詳細はこちら) | 換気制御プロダクト「BA CLOUD」を導入して空調の電力使用量を削減 (詳細はこちら) | スタートアップ支援拠点の情報を視認性の高いイラストマップで一元的に提供 (詳細はこちら) |
※ 第4期(令和5年度)の先行導入プロジェクトについては、採択予定数に達しましたので、公募を締め切りました。多数のご応募ありがとうございました。
今後の取組(2024年1~3月)
(1)スタートアップ戦略の推進
- スタートアップ戦略「Global Innovation with STARTUPS」の更なる推進を図るため、スタートアップによる事業提案制度及び現場対話型スタートアップ協働プロジェクトなどの取組を通じ、官民協働の実践を進めます。
- Tokyo Innovation Base(TIB)の本格オープン、アジア最大規模のスタートアップイベント“SusHi Tech Tokyo 2024”グローバルスタートアッププログラムの開催に向けて準備を進めます(いずれも2024年5月)。
スタートアップ戦略の推進に関する情報は、スタートアップ・国際金融都市戦略室のホームページで随時発信していきますので、ぜひご注目ください。
(2)UPGRADE with TOKYO ピッチイベント
多様な行政課題の解決に向けて、ピッチイベントを開催していきます。
ピッチイベントについては、開催が決まり次第、UPGRADE with TOKYOのホームページに応募方法や観覧方法など詳細を掲載しますので、ぜひご注目ください。(過去に実施したイベントの様子も公開しています)
(3)キングサーモンプロジェクト
キングサーモンプロジェクトに関する情報は、キングサーモンプロジェクトのホームページで随時発信していきますので、ぜひご注目ください。
2.GovTech東京
“GovTech東京”と都が協働し、オール東京でDX推進を加速していきます。
進捗状況(2023年10~12月)
GovTech東京では、官と民がフラットに共創する中で、イノベーションを起こし、行政課題の解決策を導き出していくために、官民共創のコミュニティ形成・ネットワークを広げる機会として、官民共創イベントを開催しています。
①「GovTech東京 共創MeetUp-新型コロナウイルス感染症対策サイトを振り返る-」を開催(10月28日)
行政とシビックテックが協働し、テクノロジーを活用することによって行政課題を解決していくという観点から、(一社)コード・フォー・ジャパンとの共催で「GovTech東京 共創MeetUp-新型コロナウイルス感染症対策サイトを振り返る-」を開催しました。
②「GovTech東京 Meetup 2(~マイナポータル連携によるメリットを学ぶ~)」を開催(12月20日)
こども・子育て分野で都民にとって利便性の高いサービスを提供していくという観点から、(一社)こどもDX推進協会との共催で「GovTech東京 Meetup 2(~マイナポータル連携によるメリットを学ぶ~)」を開催しました。
今後の取組(2024年1~3月)
① 事業の展開
「情報技術で行政の今を変える、首都の未来を変える」をビジョンに掲げ、6つの事業(都庁各局DX、区市町村DX、デジタル基盤強化・共通化、デジタル人材確保・育成、データ利活用推進、官民共創・新サービス創出)の本格化に向けて、取り組んでいきます。
② 第2回CIO協議会を開催(2月15日)
協議会(第2回)の開催に向けて準備を進めます。
3.都民参加のオープンイノベーション
事業を企画する段階から都民に参画してもらい、より良い政策づくり・サービスづくりを行うため、デジタルを活用した都民との双方向コミュニケーションを進めます。また、ハッカソンや共創コミュニティを通じて地域課題の解決策を生み出し、実装につなげていきます。
進捗状況(2023年10~12月)
(1)デジタルを活用した双方向コミュニケーション
西新宿において、市民や企業等がデジタル技術を活用してまちづくりに参加できる機会を創出します。また、学生ならではのアイデアを取り入れて、西新宿の課題解決やまちづくりを加速化します。
① 新たなデジタル技術を活用した市民参加の仕組み検討
デジタルツインを活用した”空間利用の3Dモデル”をワークショップで作成し、そのモデルについて市民がLINEで投票し、西新宿のイベント(スマートシティフェスタ)にて実現しました。
② 学生とのコミュニティ強化
学生を対象に、デジタルの力を活用して街の課題解決に取り組む人材を育成するため、西新宿をフィールドとした「デジタル社会人材育成プログラム」を開催しています。
「デジタルの力で街の課題を解決するアイディア」をテーマに、アイディアコンテストの参加者を募集し、11月19日に一次審査を実施しました。一次審査を通った6つのグループは、二次審査に向けて、講師のアドバイスを受けながらアイディアを基にした試作品の製作に取り組んでいます。
(2)都知事杯オープンデータ・ハッカソン2023
東京都オープンデータカタログサイトに掲載されているオープンデータを活用し、官民協働で行政課題の解決に向けたデジタルサービスを企画・開発するイベントです。
最終審査会(Final Stage)の開催(10月22日)
作品の提出を行った全72チームによるプレゼン大会(First Stage)を勝ち抜いたファイナリスト18チーム(サービス開発を目指す「社会実装部門」15チーム、オープンデータの活用アイデアを提案する「アイデア提案部門」3チーム)による最終審査会(Final Stage)が開催され、都知事杯(最優秀賞)には、proj-inclusive×一般社団法人防窮研究所の「支援みつもりヤドカリくん」が選ばれました。
(3)シビックテックとの共創
オープンソースソフトウェア(OSS)の活用を通じたシビックテックと行政の共創推進や官民共創デジタルプラットフォームの普及啓発を図るイベント「Tokyo OSS Party!!」の、今年度開催に向けた準備を進めました。
今後の取組(2024年1~3月)
(1)デジタルを活用した双方向コミュニケーション
デジタル社会人材育成プログラムのアイディアコンテスト二次審査で、一次審査を通過した6グループによる”試作品のプレゼンテーション”を行い、最優秀賞を決定します。
(2)都知事杯オープンデータ・ハッカソン2023
Final Stage進出者のうちサービスの社会実装を目指す16チームに対して、サービスの実装に向けた支援(プログラムの構築、使い勝手の良いデザインや機能のアドバイス等)を、年度末まで実施するとともに、3月中旬には成果報告会(Demo Day)を開催する予定です。
(3)シビックテックとの共創
Tokyo OSS Party!!を開催します。1月開催のDay1では地域課題テーマを提案いただいた自治体によるプレゼンテーションを行い、ワークショップにて解決に向けたアイデア出しを行いました。
開発期間1ヶ月を経て、2月開催のDay2では各チームから地域課題解決・開発成果の発表を行い、審査委員による審査及び表彰を行います。
なお、成果物は東京都GitHubアカウントからのサービス公開を目指します。