Ⅰ.DX推進体制の構築
[ 各局等支援 / 区市町村支援 / デジタル人材確保と活用 / デジタル人材育成 / 行動指針策定 ]
東京都は、”DX推進体制の構築”として、以下5項目に取り組んでいます。
1.各局等DX推進を技術面から支援
2.区市町村のDX推進に対する支援
3.デジタル人材の確保と活用
4.デジタル人材の育成
5.行動指針の策定
1月~3月は、 引き続きDX推進支援、デジタル人材確保・育成などに取り組ました。また、デジタルサービスの開発・運用に関して職員等が共有するべき価値観・技術基準等をまとめた「行動指針」について、都民や職員の意見を踏まえ、3月末に成案を公表しました。
4月~6月は、都職員の育成、海外や民間の先進事例調査及び区市町村との連携を一体的に進めていくための東京デジタルアカデミーの新設など、新たな取組も実施していきます。
※本記事では、組織・人材マネジメント変革プロジェクトのうち、「DX推進体制の構築」に関する進捗状況と今後の予定を掲載しています。「組織・人材マネジメントの変革」に関する進捗状況と今後の予定はこちらからご覧になれます。
1.各局等のDX推進を技術面から支援
進捗状況(2022年1~3月)
1月から3月までの3か月間で、各局から約40件、支援依頼がありました。年度末の3か月間ということで、各局では、次年度の事業執行のための契約を進める時期にあたり、仕様書の技術的な確認や契約後の4月早々に動き始めるプロジェクトのサポートが中心となっています。
今年度から開始した「各局等のDX推進を技術面から支援」の1年間を振り返ると、4月からの合計で約250件をサポートし、当初の想定以上に多くのプロジェクトに関わることができました。
上期は、新型コロナウイルス感染症対策関連やユーザーテストのサポート、下期は、新型コロナウイルスの第6波に備える事案や業務システムの導入、Webサイト構築、次年度契約支援と、幅広くサポートが活用されるようになり、時期ごとの傾向や各局共通の困り事なども見えてきました。
また、サポート内容について概ね満足された事業が多かったところですが、一部の事案ではサポートの頻度や品質について期待したレベルで実施することができなかったものもあり、今後のサポート内容に反映、改善していきたいと考えています。
今後の取組(2022年4~6月)
2022年度も引き続き、各局との連携を図りながら、都政のQOSの向上を図るため、DX施策を技術的にサポートしていきます。特に、最適なデジタル技術やその後の効率的な運用手法の実装に向けて、上流工程からのサポートに力を入れていきます。また、今までの実績を分析し、好事例など各局で活用可能なノウハウの提供にも取り組んでいく予定です。
上記に加え、業務の効率化やサービス品質の向上を目的に、各局が共通して利用可能なデジタルサービスの導入を検討していきます。2022年度は、データの可視化ツール(ダッシュボード)やチャットボットなど既存サービスの更なる利用拡大を図るとともに、新たに、ご意見・お問合せフォーム機能や議事録自動作成サービスについて、先行的に取り組んでいく予定です。
2.区市町村のDX推進に対する支援
都では、福祉や子育て等、日常生活の中で身近な行政サービスを担う区市町村のDX推進に対する支援策として、各自治体と連携・協力を図りながら、人材育成や技術支援等に資する取組を行っています。
☞2019(令和元)年度より、区市町村におけるICTコア人材の育成を目的として、最新のICT知識をテーマとする区市町村職員向け勉強会を開催しています。
☞2020(令和2)年度より、区市町村におけるICTに関する課題解決のため、都の専門人材が技術相談に応じるアウトリーチ相談事業を実施しています。
☞2021(令和3)年度より、区市町村のDX推進を支援するため、行政手続のデジタル化等のモデル事業を実施しています。
☞東京都及び区市町村のCIO等との間のコミュニケーションの機会を創出するとともに、区市町村が抱える諸課題に対する解決策等の先進事例の共有などを通じて、東京におけるDX施策を推進し、行政サービスの質の向上を図ることを目的として、CIOフォーラムを開催しています。
進捗状況(2022年1~3月)
■職員向け勉強会
第3期勉強会(第5回~第6回)を開催
☞第5回 2022年1月24日【テーマ】費用対効果/マインドチェンジ(参加者20名)
☞第6回 2022年2月14日【テーマ】行動変容の確認(参加者23名)
◇参加自治体の感想◇
『”手段を目的にしない”というメッセージが強く印象に残った』
『オンラインでのグループワークに難しさを感じたが、対面開催以外の選択肢を学べた』
『講師や様々な自治体と情報交換ができ勉強になった』
※第3期勉強会の概要 ◇開催期間:第3期(2021(令和3)年9月~2022(令和4)年2月) 全6回 30団体が参加 ◇実施概要:区市町村におけるDXプロジェクトを円滑に進めていくため、各自治体でDXマインドを持ったプロジェクトリーダーを育成
■アウトリーチ相談事業
☞2022年1月20日 参加自治体:1市 【相談内容】情報システムのBCPについて等
☞2022年3月17日 参加自治体:1区 【相談内容】kintoneの利用について等
◇参加自治体の感想◇
『相談時のアドバイスを踏まえ、BCPに関連する庁内のドキュメント類を再度確認したい』
『個別のテーマについて、今後とも支援をお願いしたい』
■行政手続等デジタル化モデル事業
☞5つの区市において、以下のモデル事業を実施し、作成した映像コンテンツを他自治体にも展開
☞2022年3月
上記5自治体と東京都、支援事業者にて最終報告会を実施し、他の区市町村にもオンラインで配信
■CIOフォーラムの開催
☞年2回を目途に開催される本会のほか、必要に応じて座談会やワーキンググループ(WG)を実施
CIOフォーラム本会の開催 | 2022年2月に開催(第2回) |
区市町村CIO等との個別座談会の実施 | 2022年3月までに計20回開催 |
WGの設置 | デジタルツール共通化等検討WG(第2回、第3回、第4回:7区市が参加) デジタル人材の確保・育成に関する検討WG(第1回、第2回:7区市町が参加) |
今後の取組(2022年4~6月)
■職員向け勉強会
☞2022年度に開催する勉強会及び研修会のテーマ選定、事業概要整理を実施
■アウトリーチ相談事業
☞自治体の希望に応じて随時実施
■行政手続等デジタル化モデル事業
☞2022年度の事業実施団体を選定
☞前年度の成果(5自治体の取組に関する映像コンテンツ等)の他自治体への普及
■CIOフォーラムの開催
本会 | 5月下旬に第3回開催予定 |
座談会 | 都内区市町村の希望に応じて、適宜実施 |
WG | フォーラム内で議論に挙がった内容について深く議論するため、必要に応じて設置 |
3.デジタル人材の確保と活用
2022年2月4日、デジタル人材の確保・育成の取組みについて、基本的な考え方や今後の取組みの方向を「東京都デジタル人材確保・育成基本方針」として新たに策定・公表しました。
本基本方針を踏まえ、デジタル人材の確保に向けた具体的な取組みを充実させていきます。
進捗状況(2022年1~3月)
■多様なチャネルを活用し、高度デジタル人材を確実に確保
☞デジタルシフト推進担当課長について、2022(令和4)年4月1日の採用に向けて、募集、選考を実施しました。また、応募者向けにオンラインイベントを開催しました。
☞「ICT職採用特設サイト」のコンテンツ更新等、ICT職の広報や応募への動機づけに繋がる活動を実施しました。
■デジタル人材の戦略的な配置を検討
☞引き続き、案件ごとにアサインされたデジタルシフト推進担当課長の高度なデジタルの専門スキルを活用しながら、庁内各局等による事業の推進を支援しました。
今後の取組(2022年4~6月)
■多様なチャネルを活用し、高度デジタル人材を確実に確保
☞ICT職及びデジタルシフト推進担当課長を2022(令和4)年4月1日付で採用します。
■デジタル人材の戦略的な配置を検討
☞ICT職人材プールを設け、高度な専門性を有するデジタルシフト推進担当課長とICT職がチームで対応する等、庁内各局等への技術的支援を柔軟かつ機動的に実施していきます。
4.デジタルに係る人材育成
上述のとおり、2022年2月4日に策定・公表した「東京都デジタル人材確保・育成基本方針」を踏まえ、デジタル人材の育成に向けた具体的な取組みを充実させていきます。
進捗状況(2022年1~3月)
■ DXに係る育成メニューを全職層にて拡充し、都庁職員のデジタルスキルを向上
☞ DX推進に係る自己啓発支援として、テーマに応じた外部の有識者を講師として招聘するセミナー「都庁デジタルセミナー」を期間中2回(1/24、3/2)オンラインで実施しました(2021(令和3)年度通算10回)。
☞都庁デジタルシフト推進リーダー養成研修のグループワーク等を継続的に実施しました。
☞DX活用の視点を踏まえた事務事業の見直しや創出について考える研修(DXアイデアソン研修)を1~2月に実施したほか、デジタル技術の活用のためのデザイン思考やマネジメントについて学ぶセミナー(管理職向けデジタルシフト推進セミナー)、新任研修(後期)においてデジタルに関する科目を2~3月に実施しました。
■ 都政の高度なDXの実現を支えるデジタル専門職を育成
☞ICT職(監督職以上)を対象として、個々に合った高度な知識の習得を図れるよう、民間企業や大学等が主催する研修や講座の受講を支援しました。
☞来年度のICT職向けの研修や各種の自己啓発支援について、今年度の実績等を踏まえつつ、実施に向けた検討や調整を進めました。
今後の取組(2022年4~6月)
■DXに係る育成メニューを全職層にて拡充し、都庁職員のデジタルスキルを向上
✔リテラシー向上
☞ 「都庁デジタルセミナー」について、新たに民間との協働・共創の要素を付加した「都庁デジタル・イノベーションセミナー」にリニューアルして実施する予定です。(2022(令和4)年度通算10回開催予定)
☞課長研修において、本庁の管理職に求められるDXに関する知見やマインドセット、DXを推進していくためのリーダーシップやマネジメントを身に付ける研修を実施する予定です。
☞管理職及び管理職候補者の職員を対象に、民間学習コンテンツの講座を提供して、IT活用スキルやDXに関するビジネススキル等の幅広い分野の知識・スキルを習得する研修(オンライン学習ツール研修)を開始する予定です。
☞監督職以下の職員を対象に、DXに関する基礎知識や事務事業の企画等のノウハウを学ぶためのオンデマンド講義動画を提供する研修(オンデマンド学習コンテンツ)を開始する予定です。
✔リスキリング
☞グループごとにテーマを設定して、デジタルの視点で事務事業の見直し・創出について検討の上、成果発表(事業提案)を実施する研修(都庁デジタルシフト推進リーダー養成研修)を開始する予定です。
☞DX活用の視点を踏まえた事務事業の見直しや創出について考える研修(DXアイデアソン研修)を順次実施していく予定です。
☞ITパスポート試験対策に資するコンテンツを提供する研修(ITパスポート取得推進研修)を開始する予定です。
■都政の高度なDXの実現を支えるデジタル専門職を育成
☞ICT職等の持つデジタルスキルとそのレベルを可視化するため、デジタルスキルマップを導入する予定です。
☞新規採用のICT職(Ⅰ類B)等を対象として、ICTに関する基礎知識を習得できるよう専門研修を実施する予定です(全14日間)
☞ICT職(監督職以下)を対象として、より細分化された専門領域やトレンドの変化に対応できるよう、オンライン学習ツールの受講環境を整え、通年の研修等を開始する予定です。
☞ラーニングコミュニティ、スキルアップ勉強会、外部講座の受講補助等を通じて、ICT職の自己啓発を支援する予定です。
5. 行動指針の策定
東京デジタルファースト条例に基づく行政手続のデジタル化をはじめ、都は現在、都政のデジタル化を強力に推進していますが、開発したデジタルサービスを都民に活用していただくためには、より使いやすいサービスを提供していく必要があります。
しかし、現状、都では、各局がそれぞれにデジタルサービスを開発・運用しており、UI(ユーザーインターフェース)やアクセシビリティなど、品質の均一化が課題となっています。
そこで、質の高いサービスの提供に向けて、システム開発・運用に携る全ての職員などが共有、遵守すべき行動指針を取りまとめていきます。
進捗状況(2022年1~3月)
「行動指針」については、ガイドラインを検討するワーキンググループを設置し検討を進めるとともに、2月に原案を公表し、都民や職員の意見を踏まえ、3月末に成案を公表しました。
今後の取組(2022年4~6月)
引き続きワーキンググループにおいてガイドライン策定に向けた議論を行うとともに、策定した行動指針に基づき、行動指針の浸透やアクションプラン(仮称)の策定に向けて取り組む予定です。