都庁のワークスタイル変革プロジェクトでは、都庁本庁舎での未来型オフィス整備、デジタルツールを活用した事業所の業務改革、システム基盤のクラウド化等の取組を通じて、場所や時間を柔軟に活用した質の高い働き方への転換を目指していきます。
目次
1 都庁本庁舎
(1)未来型オフィスの整備
(2)未来型オフィスを支える新しいツールの導入
2 事業所
3 システム基盤のクラウド環境への転換
4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進
1 都庁本庁舎
進捗状況(2024年4~6月)
都庁本庁舎では、2023年度までの過去4年間で計61部門の未来型オフィス整備を実施しました。2024年度は更に加速させ、33部門の整備を実施します。
(1) 未来型オフィスの整備
① 2023年度整備部門に対するアンケート調査の結果
2023年度に未来型オフィスへ整備した部門の職員に対して、整備前と整備後のオフィスに対する利用実感等の変化を確認するため、アンケート調査を実施しました。
オフィスの環境について、未来型オフィスに「満足」又は「やや満足」と回答した職員は以前のオフィスと比べて9ポイント高い結果となりました。
2023年度整備部門においても未来型オフィスは前向きに受け止められており、アンケートで回答された肯定コメントの中では「打合せスペースや集中ブースが過不足なく揃っている」、「紙書類が手元になくても困らないことが分かった」、「席が自由なのでコミュニケーションの幅が広がる」といった内容が寄せられました。
一方で、課題コメントとして「隣のWEB会議の音がうるさい」、「職員の意識が追いついていない」、「席が毎回変わるためコミュニケーションが取りづらい」といった意見も寄せられました。
今後は、アンケートで寄せられたコメントも踏まえて、整備部門に対して整備後の課題に関するヒアリングを実施します。アンケートとヒアリングを経て課題を洗い出し、その解決に向けて整備したオフィスの更なるバージョンアップを実施する予定です。
また、ハード面だけでなく、コミュニケーションツールや座席管理ツールの活用促進といった職員の意識改善などのソフト面についても対策を実行し、オフィスを最大限活用できるよう対策を進めていきます。
② 未来型オフィス整備の拡大
2024年度は、3期から6期にかけて整備を行うとともに、2025年度に整備を予定している7期及び8期の検討を開始します。
第1四半期は、昨年度に引き続き、3期から5期のレイアウト検討・各種契約準備を進めました。また、6期については、「インプット」及び「ワークショップ」を実施しました。
インプット・ワークショップ
各整備部門の担当者が庁内の先行整備部門や先進的な民間企業のオフィスを視察するとともに、e-ラーニングで未来型オフィスでの新しい働き方を学び、整備に向けて視野を広げました。
また、整備部門ごとにワークショップを開催し、従来オフィスの課題抽出や目指す働き方のコンセプトを設定した上で、新しいオフィスのレイアウトの方針を固めました。
(2) 未来型オフィスを支える新しいツールの導入
第1四半期は、未来型オフィスの拡大に伴いスマートフォン用Wi-Fi及びインターネット通信回線を強化する15フロアの担当者とのヒアリングのほか、調達手続に着手しました。
さらに、今年度、主に事業所に配付予定のコンバーチブルタイプ端末について、マスターイメージの作成を行いました。
今後の取組 (2024年7~9月)
- 2023年度整備部門に対して整備後の課題に関するヒアリングを実施し、解決のための方策を検討していきます。
- 2024年度の整備(3期から6期)を円滑に進められるよう契約・整備に向けた準備を進めます。
- 7期整備部門のオフィスレイアウト確定に向けた検討を開始します。
- スマートフォン用Wi-Fi及びインターネット通信回線の強化の調達仕様書を作成し、契約手続を進めます。
- 今年度、主に事業所に配付するコンバーチブルタイプ端末について、配備手続を進めます。
2 事業所
進捗状況(2024年4~6月)
◆サービス最前線の事業所で、QOSの向上を目指した業務改革にチャレンジ!
東京都では、場所や時間を有効に活用した質の高い働き方への転換に向けて、すべての事業所でデジタルツールを活用した業務改革にチャレンジしていきます。サービス最前線の事業所で業務の生産性とQOSの向上を目指して、各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルを確立し、現場と協働して業務改革に取り組んでいきます 。
先行事業所で業務改善の好事例を創出することに加え、これまでの各現場のチャレンジを幅広く紹介することで横展開し、業務改善の輪を広げていきます。
◆取組紹介: 多摩職業能力開発センター(産業労働局)
多摩職業能力開発センターでは、職業訓練に係る実習計画の作成から物品の購入・納品・在庫管理に係る事務をクラウドデータベース上で一元管理することにより、ペーパーレス化、はんこレス化、事務の効率化を進めました。
同センターでは、訓練に必要な物品調達時に、指導員が実習計画実施書をデータで作成のうえ、紙出力し、回付・決裁していたため、過去情報を参照しづらいことや経理担当とのやり取りの中で、二重の入力作業が発生するなど、事務処理が煩雑になっていました。そこで、クラウドデータベースの導入を検討し、システム構成を職員自ら考えることで、アジャイルに業務改善に取り組みました。
クラウドデータベースを導入することにより、紙での回付が不要となり、ペーパーレス化・はんこレス化を図ることができます。また、データをクラウド上で一元管理することで、契約・発注情報等のデータ連携や過去実績へのアクセスが可能となり、作業が効率化できます。
【イメージ図】
今後は、試行運用を進めながら、運用方法の整理やナレッジの継承について検討し、他センター・校への展開に向けた準備を進めていきます。
今後の取組(2024年7~9月)
- 2025年までに約600の全事業所でデジタルを活用したワークスタイル改革の実践に向けて、各局・各事業所と協働しながら、引き続き好事例の創出とその横展開を進めていきます。
- 各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルの確立を目指し、先行事業所とデジタルサービス局との意見交換を通じて、課題の洗い出しやデジタルツール等の解決策提案、技術フォローなどの協働を一層強化します。
3 システム基盤のクラウド環境への転換
進捗状況(2024年4~6月)
(1)都庁のデジタル環境の強化
第1四半期は、TAIMS更改(STEP3)における開発に着手しました。
また、STEP3で利用するサーバ等の機器搬入を行い、単体テストを実施しました。
(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換
クラウドインフラの構築に向け、概要説明書及び標準仕様書をアップデートするとともに、構築事業者が決定し、設計・開発に着手しました。
また、2025年度にクラウドインフラへの移行が見込まれる業務システムを中心に、関係各局への技術支援を実施しました。
(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供
- ノーコード・ローコード開発ツールについては、講習会を実施しました。
- 統合ID管理ツールについては、SaaSの利用管理及び認証に関する検討を進めました。
- 共有ファイルストレージは、先行移行した2局について、人事異動に伴うアクセス権限変更等の運用作業を実施しました。
- 生成AIについては、より利便性が高く全局で安全に利用できるMicrosoft Copilotの提供を開始しました。
今後の取組 (2024年7~9月)
(1)都庁のデジタル環境の強化
引き続きTAIMS更改(STEP3)の開発・テストを進めます。
(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換
引き続きクラウドインフラの設計・開発を進めます。
また、引き続き関係各局への技術支援を伴走型で実施し、2025年度のクラウド転換を推進していきます。
(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供
- ノーコード・ローコード開発ツールについては、引き続き講習会を実施します。
- 統合ID管理ツールについては、引き続きSaaSの利用管理及び認証に関する検討を進めます。
- 共有ファイルストレージについては、2024年度分の容量拡張の構築・移行の準備を行うとともに、2025年度以降の移行手順の確認、関係各局との調整を進めていきます。
- 生成AIについては、更なる生産性の向上のため、メールマガジンによる周知を行い職員の活用促進を進めます。
4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進
進捗状況(2024年4~6月)
テレワークを活用した柔軟な働き方の推進に向けて、テレワーク時のコミュニケーション、環境、業務遂行状況などについての職員の満足度に関する調査を実施しました。本調査は、2022年度から行っているものです。
2025年度に、テレワークについて総合的に満足・やや満足と回答する職員を80%以上とする目標の達成に向け、調査結果の分析・満足度向上に向けた取組を継続的に行っていきます。
今後の取組 (2024年7~9月)
- テレワークに関する職員の満足度調査の回答内容の分析を行います。
- 上記調査結果を踏まえ、満足度向上に向けた取組の検討を進めていきます。
- 引き続き、「柔軟で多様なワークスタイル例の紹介」や「テレワーク活用による最適な働き
方に向けた取組・TIPs集」により、テレワークの活用を呼びかけていきます。