本プロジェクトは、スタートアップやシビックテックなど多様なプレイヤーとの協働を積み重ねることで強固な協働スタイルを構築し、社会課題を解決することを目指しています。
2022年7月~9月は、 チーム編成などスタートアップ協働推進の新たな取組やキングサーモンプロジェクトの2022年度の先行導入プロジェクト開始・実施に向けた準備などに取り組みました。
10月~12月は、スタートアップ協働の取組をワンチームで進めるとともに、ピッチイベントの開催や、 キングサーモンプロジェクトの2023年度に取り組むプロジェクトテーマの検討などを予定しています。
1.スタートアップ協働の推進
スタートアップとの協働を効果的に進めるために、関係各局がワンチームで、 「スタートアップ協働戦略ver.1.0」(2022年2月)に基づく取組を推進しています。
※戦略の背景等についてはnote記事もご覧ください(コチラ)。
取組を加速させ、各局のスタートアップ支援や連携を進める業務を担当する職員等から成るチームを令和4年8月に編成し、都内の民間スタートアップ拠点に都庁の「出島」を設置するなど、活発なコミュニケーション等を通じて、ワンチームで協働の取組を推進しています。
進捗状況(2022年7~9月)
①ワンチーム「Team Tokyo Innovation」での活動開始!!
・スタートアップに関係する各部署から成る庁内横断のチーム「Team Tokyo Innovation」を編成しました。
・宮坂副知事を全体統括リーダーとして、新たに設置したスタートアップ戦略担当局長のもと、政策企画局、総務局、財務局、デジタルサービス局、産業労働局、港湾局がメンバーとなり、庁内の力を結集し、オール東京都で取組を進めています。
・そのキックオフとして、8月26日に、経団連の南場副会長と小池都知事のトークセッションを開催しました。詳しくは、noteをご覧ください。
②スタートアップ支援拠点での活動
・スタートアップのみなさまと交流する都庁の「出島」として、国内外の様々なプレーヤーが集まる「CIC Tokyo」内に東京都の拠点を設置しました。「いつでも会える都庁」をキーワードに、都庁自らスタートアップのみなさまが集まる場所へ出向き、交流し、コミュニケーションを深めていくことを目指しています。
・また、CIC Tokyoにおいてネットワーキングイベントに参加するなど、様々な入居者に対して、都のチームが常駐していることをPRし、コミュニケーションのきっかけづくりを行いました。
③スタートアップ協働戦略バージョンアップに向けた議論
「Team Tokyo Innovation」 で、公共調達の拡大、イノベーションを起こす”場づくり”、規制緩和の促進、大学との連携を強化する取組などのスタートアップ施策に関して、戦略バージョンアップを行うため議論を進めています。また、国や経済団体、スタートアップ関連団体からもご意見を伺っています。
④大学との懇談会
東京都および都内の大学による定例懇談会について、7月は「大学発スタートアップの推進~スタートアップと東京都で「未来の東京」を共創する~」をテーマとして開催しました。各大学の取組を共有すると共に、活発な意見交換が行われました。また、東京都と大学との連携をより深めていくため、Slackを用いたオンラインでのコミュニケーションを開始しました。
今後の取組(2022年10~12月)
・引き続き拠点において様々な関係者とネットワークを構築するとともに、スタートアップやアクセラレーター等の皆様とコミュニケーションを深め、ワンチームで取組を推進していきます。
・伺ったご意見等を踏まえて、11月を目途にスタートアップ協働戦略をバージョンアップします。
2.行政課題解決型ピッチイベント
都政課題の解決に資するこれまでにない製品・サービスを提供するスタートアップによるピッチイベントや、行政機関、VCや企業等との交流の場を創出するイベントを開催し、行政課題の解決とスタートアップの成⾧を後押ししています。
進捗状況(2022年7~9月)
①ピッチイベントの開催発表
2022年10月に予定されている、第21回及び第22回のピッチイベントの開催を発表し、参加者の募集を行いました。
※イベントの様子は、UPGRADE with TOKYOのHPからご覧いただけます。
②製品・サービスを活用した協働
〇 新規協働件数 3件(累計15件)
これまでに協働している12件に加えて、第16回ピッチイベント優勝者(hachidori株式会社)、第17回ピッチイベント優勝者(BRJ株式会社)、第18回ピッチイベント優勝社(SWAT Mobility Japan株式会社)がテーマ所管局と契約を締結し、協働を開始しました。
〇「行政課題解決型スタートアップ支援事業における新事業分野開拓者」を以下2件認定しました。(SWAT Mobility Japan株式会社、株式会社ABAL)
企業名:SWAT Mobility Japan 株式会社
サービス名:「乗降データ分析コンサルティング、乗降データ分析ツール」
サービス概要:既存の路線バス運行改善に向けた乗降データ分析コンサルティングとそのツールを提供。停留所ごとの利用人数等のデータを可視化することで、停留所の再配置やバス運行収益改善が可能に。また、運行改善後のCO2排出量の変化や、オンデマンドバスの導入シミュレーションなど、既存の運行改善にとどまらない分析も可能。
企業名:ABAL 株式会社
サービス名:「XR展示プラットフォーム」
サービス概要:文化財、観光資産、アートや舞台などのデジタルデータをバーチャル空間内に展示する「バーチャル展示空間」を提供するサービス。現実の狭小空間にドームサイズのバーチャル空間を構築、ユーザーは複数人で空間内を歩き回り、作品やパフォーマンスを鑑賞できる。
また、バーチャルならではの展示演出によって、現実では実現できない没入感のある展示体験を得ることができる。さらに、この空間ではデジタルデータやアートグッズなどの商品購入も可能となる。
今後の取組(2022年10~12月)
①ピッチイベントの開催
ピッチイベント(テーマ:「電力のHTT(「H」減らす・「T」創る・「T」蓄める)の推進」)を11月22日に開催します。
※第23回「H」減らす、第24回「T」創る、第25回「T」蓄める
イベントの模様は東京都産業労働局チャンネル(YouTube)でライブ配信いたします。
是非ご覧ください。(過去に実施したイベントの様子も公開しています)
②製品・サービスを活用した協働
ピッチイベント優勝社の製品・サービスの早期活用を推進するため、速やかに協働プロジェクトの組成を目指していきます。 協働の様子はnoteで随時配信していますので是非ご覧ください。
3.キングサーモンプロジェクト
グローバル市場を席捲する課題解決型のスタートアップ(「キングサーモン企業」)を東京から輩出し、先端事業による東京の成長と社会課題の解決を目指しています。
進捗状況(2022年7~9月)
先行導入プロジェクト概要
スタートアップと都政現場が共に課題解決に向け、取り組んでいます。現在、スタートアップ3社のプロダクト等について、都政現場において効果検証等を行う先行導入プロジェクトが始まっています。
農業×遠隔ロボット:大島高校(農林科)×GINZAFARM(株)
8月24日、大島高校の有する広大な椿園において、 大島高校(農林科)とGINZAFARM株式会社との協働による先行導入プロジェクトが始まりました。
大島高校の椿園は、農林科の先生・生徒たちが約380種類、1,000本以上の椿を管理をしており、生徒の栽培管理実習などの教材に使われています。
先行導入プロジェクトの内容
大島高校(農林科)では、広大な農場管理の自動化・無人化やデータに基づく農作業の効率化等により、次世代農業に向けた人材育成を実現できないか、という課題がありました。
これに対して、GINZAFARM株式会社のロボット、センシング機能を活用することで次の内容を検証するプロジェクトを開始しました。
・農薬自動散布や生育状況の遠隔監視を行う等、農作業を自動化・省力化
・最新のスマート農業に触れ、次世代を担う人材育成
今回は、椿園における農薬散布にフォーカスし、 現場のニーズや現地の状況に合わせてカスタマイズした農薬散布用の⾃律⾛⾏型ロボットを導入しました。
通常の農薬散布はホースを手に持って、歩きながら、農薬曝露を防ぐための装備を身に着けて行われるため、身体的負担が大きい作業です。これが、ロボットを活用することで安全な場所から負担なく散布することが可能になります。
※農薬の代わりに水を使用しています。
今後、椿園の管理にかかわる先生・生徒の身体的負荷軽減・作業時間の削減、生徒の農業に対する意識変化等について、アンケート調査を通して、GINZAFARM株式会社のプロダクトの有用性を確認していきます。(2023年1月までプロジェクト実施予定)
詳細はキングサーモンプロジェクトのホームページ(https://kingsalmon.tokyo/)でも随時発信いたしますので、ぜひご注目ください。
今後の取組(2022年10~12月)
- ほかの2つの都政現場における先行導入プロジェクトもまもなく開始します。
引き続きスタートアップと都政現場が共に準備を進めます。
- 都政現場の課題やスタートアップの技術・プロダクトに関する調査を実施し、2023年度に取り組むプロジェクトテーマの検討を引き続き進めます。
4.ユーザーテスト
QOS(クオリティ・オブ・サービス)の高い、誰もが使いやすいデジタルサービスを提供するために、 都は職員や都民等向けのデジタルサービス全般に対してユーザーテストを行うこととし、具体的な手法を「ユーザーテストガイドライン」としてまとめております。
進捗状況(2022年7~9月)
都民をテスターとしたユーザーテストの実施に向けた検討
ユーザーテストガイドラインに従って、庁内では第2四半期までに35件のテストを実施しています。(2022年度の目標100件)
今後、更に都民目線に立った良いサービスを創り上げていくために、テスターを実際のユーザーとなる都民に拡大していくことが重要です。そのため、都民をテスターとしたユーザーテストについて実施フロー等の具体化に向けた検討を進めました。
さらに、都民目線でのサービスをより効果的に実現するためには、企画・設計等の早い段階からユーザーの意見などを取り入れていくことが重要です。このような上流工程の取組についても整理・検討を進めています。
今後の取組(2022年10~12月)
引き続き、テスターの拡大や、上流工程の取組などの整理・検討を進め、ユーザーテストガイドラインのバージョンアップを行う予定です。
5.シビックテックとの協働
東京を取り巻く環境が大きく変化し、予測困難で複雑化している一方、次々と発生する社会課題に対して、迅速に対応していくことが必要であり、そのためにシビックテックとの協働が必要です。
そのため、シビックテックや企業等がオープンデータ等を活用して新たなサービスを創出していく、官民協働スタイルの構築(オープンデータカタログサイト等)や、地域の行政課題とシビックテックのノウハウをマッチングさせ、行政とシビックテックの連携により地域課題解決を推進する場としてプラットフォームの構築(官民共創デジタルプラットフォーム)を行っています。
※オープンデータについてはオープンデータ徹底活用プロジェクト(コチラ)の再掲。
進捗状況(2022年7~9月)
官民共創デジタルプラットフォーム
年内目途のプラットフォームの構築に向けて、今年度実装する機能の精査や普及啓発イベントについての検討を行いました。また、先行Webサイトを参考にしながら区市町村課題掘り起こしのための調査を行いました。
今後の取組(2022年10~12月)
官民共創デジタルプラットフォーム
・シビックテックとの協働機運を醸成するためのイベントを12月に実施します。行政職員や官民共創に関心を持つ企業や個人の方々にご参加いただき、基調講演やパネルディスカッション、ワークショップを通じて協働機運を高めるイベントとします。
・年内目途に、地域課題とシビックテックのアイデアのマッチングをオンライン上で進めるためのプラットフォームを構築します。さらに、第4四半期に開催予定のプラットフォーム普及啓発イベント(Tokyo OSS Party(仮称))に向け、地域課題解決に関心を持つシビックテックの募集を開始します。また、第2四半期の調査結果にもとづき、区市町村の課題のさらなる掘り起こしを進めます。