都庁のワークスタイル変革プロジェクトでは、都庁本庁舎での未来型オフィス整備、デジタルツールを活用した事業所の業務改革、システム基盤のクラウド化等の取組を通じて、場所や時間を柔軟に活用した質の高い働き方への転換を目指していきます。
目次
1 都庁本庁舎
(1)未来型オフィスの整備
(2)未来型オフィスを支える新しいツールの導入
2 事業所
3 システム基盤のクラウド環境への転換
4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進
1 都庁本庁舎
進捗状況(2023年10~12月)
都庁本庁舎では、2022年度(昨年度)までの過去3年間で25部門の未来型オフィス整備を実施しました。2023年度(今年度)は更に加速させ、35部門の整備を実施します。
(1) 未来型オフィスの整備
【2022年度に整備した17部門のバージョンアップ】
2022年度に整備した17部門で、調達物品の検討が進んでいます。
今後は各部門で調達にあたって契約手続きに着手し、3月までには納品が行われ、各部門のオフィスがバージョンアップされる見込みです。
【未来型オフィス整備の拡大】
これまで検討を進めてきたオフィスレイアウトに基づき、第3四半期では1期整備のオフィス整備を実施しました。また新たに5期整備の検討を開始しました。1期~5期の全体スケジュールは以下の通りです。
①2023年度整備の状況(1期・2期)
各部門で検討した業務内容に応じたレイアウトを踏まえて、第3四半期では1期整備のうち11部門の整備が完了しました。
以下、各局の職員の皆様から、整備に当たっての工夫やオフィスのアピールポイントなどを伺いました。整備後のオフィスの様子とともにご紹介します。
■政策企画局(戦略広報部)
新しい働き方として「SWITCH!!」をコンセプトに整備しました。新しい発想を生むためのリラックススペースとしてライブラリーエリアを設置し、モニターを整備することで、アイデアのブレストができる空間を創出しました。
また、東京都のゆるキャラの名称を付けた打合せスペースを充実することで、気軽に外部と打合せできるオフィスとなりました。
■スタートアップ・国際金融都市戦略室(戦略推進部)
「交流」をコンセプトに整備し、職員同士の交流が自然と生まれるように動線が交わるレイアウトとしたほか、外部のプレーヤーとの交流も活発になるよう打合せスペースを充実させました。
また、スタートアップの製品やプロダクトを導入することで、スタートアップとともに当室らしい未来型オフィスを構築しています。
■総務局(総務部情報公開課・復興支援対策部・人権部)
「センシティブな課題に対してポジティブかつクリエイティブに取り組む」スリーティブをコンセプトに整備し、思考を深めるソロワークスペースや遊び心ある三角形テーブルでアイデアを発散するコミュニケーションスペースを設置しました。オフィスのチェアは、性的マイノリティに理解があることを示す6色のレインボーカラーで配置しています。
■主税局(総務部・課税部)
総務部
「カベなきスマートオフィス」をコンセプトに整備し、部内のどこでもコミュニケーションが取りやすいように、打合せスペース等をオフィス内に分散して設けました。
また、機密性の高い内容の打合せも行えるよう、防音機能を備えた2人用のWEB会議ブースも設置し、様々なシーンでコミュニケーションが取れるオフィスになっています。
課税部
「開放的な空間で、絶景見渡し、イキイキ働く (カ・ゼ・イ)」をコンセプトに、文書整理を行い中間書庫を大幅に減らしたことで、執務室全体がすっきりした印象になりました。
また、WEBブースや窓際のハイテーブルなど、多様なワークスペースを設けることで、その日の気分や業務内容に応じて業務を行えるようにしました。
■生活文化スポーツ局(総務部・スポーツ総合推進部・文化振興部)
総務部・スポーツ総合推進部
限られたスペースを有効活用するため、隣り合う総務部・スポーツ総合推進部が共同でレイアウトの検討を行いました。部の境目等にどちらの部でも使える共用エリアを設け、両部が使える執務席やユーティリティスペース、打合せコーナーを設ける等、コミュニケーションが活性化するよう工夫しました。
文化振興部
「メリハリをつけてスマートに働く」コンセプトを実現するため、通常の執務席のほか、高&低カウンター席や集中ブースを設置し、業務内容に応じて働く場所を選択できる環境を整えました。
文書の電子化・廃棄の取組によりキャビネットを最大限削減し、不足していた打合せスペースを創出しました(3か所から7か所に拡充)。
■産業労働局(農林水産部・雇用就業部)
農林水産部
「AFF??」※をコンセプトに整備し、多摩産材製の什器を積極的に活用することで、農・林・水を感じられるオフィスを目指しました。
また、Web会議ブースや打ち合わせスペースを充実させることで、コミュニケーションを活発化させるとともに、多様な現場とも共同して働くことができる環境を整えました。
※農業(Agriculture)、林業(Forestry)、水産業(Fisheries)の頭文字(A、F、F)に、All-inclusive、Friendly、Fightの意味を重ねました。また、末尾の??は「どういう意味でしょう??」という謎かけにより、コンセプトを印象付ける狙いがあります。
雇用就業部
フロアを集中作業・コミュニケーション等の用途別に使い分けるゾーニング、Teamsやデジタルサイネージ等のデジタルツールを有効活用する等、ハード・ソフトの両面で「多様な働き方」を選択できるオフィスを作りました。ガラス張りの会議スペース導入やカーペットの色でゾーンを分ける工夫など、開放的で明るいオフィスになりました。
■建設局(用地部・三環状道路整備推進部)
用地部
「シン・用地部 ~進化していく、親しみのある新しいオフィス~」をコンセプトに整備しました。部内、部外問わず熱のこもった打合せを行う機会が多いため、青や緑を取り入れた落ち着きのある色合いの什器を採用し、打合せに集中できる空間を設けました。
三環状道路整備推進部
「つなぐ・つながる・つなげる三かんオフィス」をコンセプトに整備し、コミュニケーションをより活発にし、効果的で効率的な打合せを行うため、打合せの規模に応じて着脱可能な可動式の打合せスペースを設けました。
■港湾局(離島港湾部)
▲フロアカーペットは、11の有人離島をイメージ
計画、設計、管理に携わる職員個々の力を集結し、よりチームが一体となれる職場を目指し「ワンチーム」をコンセプトとしました。このため、より多くの交流が図れるよう、コミュニケーションスペースを充実させるとともに、周囲の会話を気にせず、より業務に集中できるよう半個室型のブースを設け、設計業務の効率化を目指しました。さらに、執務室中央に「テント」を配置し、非日常的な演出を図り、職員が気軽に来てリラックスしながら働ける空間を用意しました。
■水道局(総務部)
「流動的(ゆるやか)に 脈々つながる サクサク捗る」をコンセプトとし、人や組織が交流しやすいようにコミュニケーションスペースを充実させました。ダンパーの壁を活かしたソファエリアでは、業務をしながら気軽にコミュニケーションをとることができます。キャビネットを全て撤去し、緑を適切に配置したことで、開放的な執務環境を整えました。
■下水道局(職員部)
「いつでもどこでも」をテーマとして、執務エリアにはアプローチしやすいラウンド型のテーブルを配置し気軽に会話ができる雰囲気を創出するとともに、明るく開放的な芝生広場をイメージした中心部には、レイアウト変更ができる台形テーブルや昇降テーブル、バランスボールなど多様なテーブルと椅子を配置し、職員が集まり新たな交流を生み出す工夫を施しました。
■教育庁(総務部)
「未来型オフィスで子供たちの明るい笑顔を創造!」をコンセプトに、風通しのよい活気あふれる職場を目指しました。明るく業務ができるよう、什器やカーペットはポップな色合いに。他部署の職員と机を並べることでコミュニケーションも広がります。窓際の集中ブースも人気で、業務内容や気分によって席を選べ、職員の笑顔にもつながっています。
2期整備部門のオフィス整備は第4四半期で実施します。完成までお楽しみにお待ちください。
②2024年度整備の状況(3期・4期・5期)
3期・4期整備部門についてはオフィスレイアウトが固まり、2024年度の契約・整備に向けて準備を行っています。また、5期整備部門も検討が開始され、「インプット」「ワークショップ」を経て、オフィスのレイアウト作成に着手しています。
(2) 未来型オフィスを支える新しいツールの導入
第3四半期では、Wi-Fi及びインターネット通信回線の強化に向けた敷設工事を開始し、12月末時点で10フロアを施工しました。来年度整備分については敷設計画の策定を進めました。
また、コンバーチブルタイプ端末をTAIMS端末として利用できるよう、各端末へのマスタイメージの書き込みを完了し、今年度更新時期を迎える関係各局(主に本庁)に配付しました。
今後の取組 (2024年1~3月)
- 2022年度に整備した17部門でのオフィスのバージョンアップに向け、各部門で検討した什器を実装します。
- 2期までのすべての整備部門でオフィス整備を完了させます。
- 2024年度の整備(3期~5期)を円滑に進められるよう契約等の準備を進めます。
- 引き続き、Wi-Fi及びインターネット通信回線の強化に向けた敷設工事を進めるとともに、敷設が完了したフロアについて、順次ユーザーへの供用を開始していきます。
- 来年度更新時期を迎える、主に事業所に配付予定のコンバーチブルタイプ端末の調達に向けた準備を進めていきます。
2 事業所
進捗状況(2023年10~12月)
◆職員のアイデアを形に変えて、全ての事業所で業務改革にチャレンジ!
東京都では、場所や時間を柔軟に活用した質の高い働き方への転換に向けて、すべての事業所でデジタルツールを活用した業務改革にチャレンジしていきます。職員のアイデアを形に変えて、すべての事業所で仕事のやり方とQOS(クオリティ・オブ・サービス)をバージョンアップさせるため、各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルの確立を目指し、現場と協業して業務改革に取り組んでいきます 。
先行事業所で業務改善の好事例を創出することに加え、これまでの各現場のチャレンジを幅広く紹介することで横展開し、業務改善の輪を広げていきます。
◆取組紹介: 労働相談情報センター(産業労働局)
東京都労働相談情報センターは、誰でも気軽に労働トラブルに関する電話相談をできるよう、令和5年10月よりLINEコールを活用した労働相談「東京都LINE電話労働相談」を開始しました。
労働相談情報センターでは、雇用者と被用者の両方を対象に、相談やあっせんを通じて労働トラブルの解決を支援しています。はじめに電話相談を受け付けた後、内容に応じて対面でのきめ細かい相談対応につなげています。
この電話相談にSNSを活用したLINEコール(音声通話機能)を導入したことで、スマートフォンユーザーを主な対象として手軽・無料・ワンタッチでの電話相談を実現しました。相談希望者は、LINEから労働相談情報センターを友だち登録することで、ボタン1つで無料相談を利用することができます。
同年5月から9月の試行期間では、当初想定していた若年層を含む各年代の利用が見られる中で、50代の利用も比較的多い傾向にあり、デジタル機器の広がりに合わせて、幅広い利用者が見込める結果となりました。「労働相談は法律面だけでなく、個々人の状況にも寄り添って、中立な立場から継続的な支援を行っています。その第一歩が電話相談受付であり、トラブルを未然に予防する意味でも、疑問や不安があれば気軽に利用してほしいです」と相談調査課の奥田さん。労働相談情報センターでは、今後も利用者の目線に立って、労働トラブルの解決支援に向けたサービス向上に取り組んでいきます。
今後の取組 (2024年1~3月)
- 2025年までに全600事業所でのデジタルを活用したワークスタイル変革の実践に向けて、各局・各事業所と協働しながら、引き続き好事例の創出とその横展開を進めていきます。
- 各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルの確立を目指し、先行事業所とデジタルサービス局との意見交換を通じて、課題の洗い出しやデジタルツール等の解決策提案、技術フォローなどの協働を一層強化します。
3 システム基盤のクラウド環境への転換
進捗状況(2023年10~12月)
(1)都庁のデジタル環境の強化
第3四半期は、TAIMS(STEP3)に向け、詳細設計に着手するとともに、令和6年度に更新する機器の契約手続を進めました。
(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換
各局業務システムの具体的な状況を把握するため、詳細調査を実施しました。また、要件定義を基にして、基本設計及び詳細設計の検討を進めました。
(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供
- ノーコード・ローコード開発ツールでは、開発手法やメンテナンスが困難な成果物の増加等の各課題について、対策方法を検討しました。
- ID統合管理については、SaaSやクラウド移行した業務システムでの利用を想定し全体構想を再整理した上で、最適な構成案を検討しました。
- ファイル共有ストレージについては、設計・構築に関する契約を締結し、先行の3局30TB分の整備に着手しました。また、業務を類型化した上で利用ルール案を作成しました。
- 文章生成AIについては、利用者にヒアリングを行うとともに、必要な機能の見直しを検討しました。
今後の取組 (2024年1~3月)
(1)都庁のデジタル環境の強化
第4四半期は、TAIMS(STEP3)に向け、詳細設計を進めます。また、引き続き2024年度に更新する機器の契約手続を進めていきます。
(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換
調査結果を基に、クラウドベースへの転換が優先されるシステムについて、順次、関係各局への技術支援を行っていきます。また、引き続きクラウドインフラ構築に向けた各種手続を進めていきます。
(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供
- ノーコード・ローコード開発ツールについては、誰でも簡単にメンテナンスができる運用に配慮した設計、開発ができるよう、ガイドブックの作成を進めていきます。
- ID統合管理については、構成案を踏まえて仕様を作成していきます。
- ファイル共有ストレージについては、引き続き3局30TB分を整備し、データ移行を進めるとともに利用ルール策定に取り組んでいきます。
- 文章生成AIについては、より長文のプロンプトが入力可能な利用モデルへの入替えを実施していきます。
4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進
進捗状況(2023年10~12月)
【テレワークの活用】
- 様々な職場における工夫やコツ、好事例等をまとめた「テレワーク活用による最適な働き方に向けた取組・TIPs集」等を題材として、管理職及び管理職候補者を対象とする講習会(動画配信)を実施しました。
- 11月の都庁におけるテレワーク月間の取組として、Microsoft TeamsのグループチャットやWeb会議機能の上手な活用例を紹介する等、テレワーク中の効果的・効率的なコミュニケーションの一層の促進を呼びかけました。
- テレワークに関する職員満足度調査を12月に実施しました(2023年度2回目)。テレワークについて総合的に満足・やや満足と回答する職員の割合は約73%となりました。
今後の取組 (2024年1~3月)
テレワークに関する職員満足度調査の分析結果や課題を踏まえ、満足度向上に向けた取組の検討を進めていきます。