進捗報告(2023年1~3月):デジタル技術を活用した島しょ地域の社会課題解決プロジェクト【総務局・福祉保健局】

八丈島の航空写真

進捗状況(2023年1~3月)

〇教育のデジタル化

EdTech(※1)サービスの活用支援

  • 個別最適な学習(※2):個人のテスト結果に応じて復習課題として配信した内容の定着度合いを測るため、確認テストを実施しました。事前テストよりも、事後テストの方が点数が高くなったことが確認できました。生徒のアンケートからは、「学習意欲の向上」「学習に対する自信・苦手意識の変化」「各科目の力の伸び」といった実感を得られたことが確認できました。
  • 反転学習(※3):生徒のアンケートからは、教科に対する苦手意識が緩和したことが確認できました。授業を実施した先生からは、「より楽しんで授業を受ける生徒が増えた」「学習のログを基に声掛けしたことで、多くの生徒が事前学習を済ませた状態で授業を進められた」といった感想が聞かれました。
  • プログラミング・STEAM学習(※4):WEBサイト内ページの閲覧数やアンケート等のフィードバックを踏まえて、WEBサイトの改善に取組みました。生徒のアンケートからは、探究的な学習を行ったことでプログラミング知識・スキル定着の実感が高いこと、社会課題解決への意欲が向上したことが確認できました。

学校間・島間連携の促進

  • 2月に第4回定期共有会を開催し、先進モデル実証校の取組成果について意見交換や質疑応答を行いました。
  • 三宅島と八丈島の間で、リモート協働学習として1月に中間報告会、2月に最終報告会を実施しました。お互いに気になった点などをフィードバックし合い、WEBサイト改善に向けての刺激となりました。

専門家の派遣

  • GIGAスクール構想に深い知見がある専門家が、町村教育委員会が主催するICT推進協議会に参加して、議題の設定やファシリテーターとして支援しました。
  • デジタルシティズンシップ教育について、アンケートから「授業を通じて考え方を理解することは難しくないが、実際に行動に移すことは簡単ではない」と感じている児童が多いことが確認できました。授業を実施した先生からは、「日ごろから端末を活用している学校で取組むと効果が高い」「児童の日常の行動規範に響くような考え方に触れられた点に意義があった」といった感想が聞かれました。
  • 個別最適な学習の実施に当たって、先進モデル実証校を中心にAIドリルの専門家による現地支援を実施しました。

(※1)EdTech:Education(教育)×Technology(技術)の造語で、教育におけるAI、ビッグデータ等の様々な新しいテクノロジーを活用したあらゆる取組

(※2)個別最適な学習:授業中の小テストや家庭学習等の学習ログをもとに、個人に合わせて問題の難易度や量を変えて出題

(※3)反転学習:Edtechサービスを使って授業前に、基礎的な知識・スキルの習得を予習として実施することで、授業中は応用学習や探求学習・協働学習を中心に展開

(※4)STEAM学習:Science,Technology,Engineering,Art,Mathematics等の各教科での学習を、実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科横断的な教育

(※5)デジタルシティズンシップ教育:急速に進むデジタル社会の中で1人1台端末を整備された児童・生徒が、自律的にデジタル社会とかかわっていくための教育

〇島しょ遠隔医療への5G活用

2023年2月の町立八丈病院の5Gインフラ整備完了後、5G環境下での通信状況や診療支援の運用フローの最終確認を実施しました。
3月に、5Gを活用した高精細な映像等の送受信による遠隔医療の運用を開始しました。

令和4年度スケジュール

〇デジタル活用協議会(八丈島)の運営

  • 3月に第3回協議会を開催し、各事業の成果や次年度方針等を報告しました。
  • 第3回協議会の開催に合わせ、以下の3つの分科会において事業の進捗・成果報告を行いました。

IT人材の育成に係る分科会

  • 3月にかけて、島内でのワークショップや講演会及び、八丈島で新たなビジネスを始めたいと考える移住検討者等を対象にしたアクセラレータツアーを開催しました。
  • ワークショップは延べ100人程度、講演会では延べ60人程度にご参加いただきました。島内の事業者等を中心に、デジタル技術の活用の支援を一定程度行うことができました。
  • アクセラレータツアーでは、20以上のプランの応募をいただき、最終的に8つのプランを採択した上で、ビジネス化に向けた専門家との意見交換や島の方との交流を行いました。
  • DX推進に係る普及啓発・人材育成ロードマップ策定を進め、適宜、意見交換を実施し、事業の自走可能なモデルについて検討しました。

島内交通の充実に関する分科会

  • これまでの現状分析の結果をもとに、2023年1月23日~同年2月22日の期間で、「八丈島民向けデマンドタクシーの試験運行」を実施しました。延べ100名以上の方にご利用いただき、アンケートや、AIデマンドシステムの利用データを基に、事業の効果検証を行いました。
  • 事業者へのヒアリング等を通じて来島者向け交通施策について検討を行い、2023年度の事業実施に向けた検討を進めました。

デリバリーサービスの試行に係る分科会

  • 2023年2月14日でデリバリーサービスの試行実施期間を終えました。実証期間中は平均33件/日の注文が入り、一定のニーズを確認することができました。
  • 1~2月の間に利用者・商品提供者(飲食店や日用品店)・配送の担い手に、効果検証に向けたアンケートやヒアリングを実施しました。その結果や注文数等を分析し、八丈島におけるデリバリーサービスの有用性について実施報告をまとめました。
  • 新しい技術や制度を活用した配送の検討・試行として、2023年2月5日(日)から9日(木)にドローンによる配送実験を実施しました。
  • 制限空域を含むドローンの飛行ルートを設定・開通が実現されたことで、将来的なドローン配送の活用可能性が確認できました。

今後の取組(2023年度)

〇専門家派遣によりデジタルシティズンシップ教育等を推進

  • 2022年度の試行派遣や意向調査を通じて、①GIGAスクール構想の包括的支援、②デジタルシティズンシップ教育、③EdTechツールの活用支援、のどれもニーズがあることが確認できました。2023年度はそれぞれの専門家を本格的に派遣します。
  • 専門家派遣によって、デジタルシティズンシップ教育等を通じて児童・生徒や保護者の情報活用能力を高めると共に、 デジタル機器及び Edtech ツールのより一層の活用を推進し、学校を通じた地域の DX 推進を図ります。

〇島しょ遠隔医療への5G活用

診療支援を実施しながら運用上生じる課題に対応し、島しょ地域で遠隔医療を行う際のモデルを確立していきます。

事業イメージ

〇八丈島でデマンド型交通等の新たな交通システムについて実証事業を実施

  • 2022年度の島内交通の充実に向けた現状分析に基づき、2023年度は、島民向け・来島者向けの実証事業に新たに着手し、八丈島における有効な交通サービスの在り方について引き続き検討を行います。
  • 2022年度までに実施した実証事業の成果は、八丈町や島内の地域団体、他島及び東京都庁内の各局と情報共有を図ります。その上で、事業の民間による自走化等を図るとともに、町や東京都の今後の事業への活用を促していきます。