都庁のワークスタイル変革プロジェクトでは、都庁本庁舎での未来型オフィス整備、デジタルツールを活用した事業所の業務改革、システム基盤のクラウド化等の取組を通じて、場所や時間を柔軟に活用した質の高い働き方への転換を目指していきます。
目次
1 都庁本庁舎
(1)未来型オフィスの整備
(2)未来型オフィスを支える新しいツールの導入
2 事業所
3 システム基盤のクラウド環境への転換
4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進
1 都庁本庁舎
進捗状況(2024年10~12月)
都庁本庁舎では、2023年度までの過去4年間で計63部門の未来型オフィス整備を実施しました。2024年度は更に加速させ、33部門の整備を実施します。

※ 2024年12月現在
(1) 未来型オフィスの整備
① 2023年度に整備した部門のバージョンアップ
2023年度に未来型オフィスへ整備した部門で、調達什器の検討が進んでいます。
今後は契約手続きに着手し、3月までには納品が行われ、各部門のオフィスがバージョンアップされる見込みです。
② 未来型オフィス整備の拡大
2024年度は、3期から6期にかけて整備を行うとともに、2025年度に整備を予定している7期及び8期の検討を開始します。
第3四半期は、4期及び5期の整備を実施しました。また、6期及び7期の「レイアウト検討・各種契約準備」を進めるとともに、8期については、「インプット」及び「ワークショップ」を実施しました。


※ 一部のフロアのみ整備
■整備後のオフィス紹介【4期・5期】
〇主税局
資産税部


「様々な業務に対応できるフレキシブルな働き方」をコンセプトとし、自由にテーブルを配置できるコミュニケーションスペースや、音漏れしにくいWEB会議ブースなど、目的に応じて使える多様なコーナーを整備しました。
フロア中央の資産税部・徴収部共有スペースは、芝生のような広々としたレイアウトとなっており、リラックスして作業や打合せを行うことができます。
徴収部


「Openな徴収部Open!」をコンセプトに開放的なフロアに整備しました。会話も集中作業もしやすい三角型テーブルや作業台としても使えるベンチなど目的に応じて使える席を設けました。
会議ブースには吸音効果の高い間仕切りを設置し、プライバシーに配慮するとともに、周囲の喧騒を気にせずに打合せができる環境を整えました。
〇下水道局
計画調整部


「安全と安心/信頼と連携/継続と先進」をコンセプトに整備し、会議や打合せを柔軟に開催できる可動式コミュニケーションスペース充実させました。
また、Web会議ブースや集中ワークデスクを設置し、業務内容に応じて場所を選択しメリハリのある働き方ができる環境を整えました。
総務部


『心に明かりを灯す・みんなの目印になる・辺りを照らす「光芒」』をコンセプトに、フロア中心部のカーペットを斬新な色合いに交換するとともに、パステルカラーのデスクを配置して明るい空間を演出しました。
可動式テーブルにすることによって、用途に合わせて気軽に打合せができる環境を整えるなど、コミュニケーションスペースを充実させました。
〇環境局
環境改善部


「つながる職場、生まれるわくわく~ボーダレスでスマートな環境~」をコンセプトとし、職員同士の交流が活発になるよう、コミュニケーションスペースを充実させました。
来庁者が多いため、担当ごとに設置されていた窓口を1か所に集約し、可動机を並べることで、大人数でも少人数でも様々な打合せに柔軟に対応できるようになりました。
気候変動対策部


「気候変動対策部のオフィスで働きたい!」と部内外の職員が思えるように、明るく・快適なオフィスを目指して、整備を行いました。気軽に打合せができるよう、予約のいらないコミュニケーションスペースを新設したほか、窓際席や集中ブースを設置し、業務内容に応じて場所を選択してメリハリのある働き方ができる環境を整えました。
〇生活文化スポーツ局
都民安全推進部


『「効率的」で「合理的」な働き方~業務パフォーマンスとライフワークバランスの向上』をコンセプトに整備し、部内の協働の促進と円滑な事業運営のため、多様な什器やブースの設置によりコミュニケーションスペースを充実させました。 業務に応じて場所を選ぶメリハリのある働き方により、職員の「ライフ」も向上できる環境を整えました。
〇水道局
サービス推進部


未来型オフィスで、新しい働き方ができるよう「スイスイ働ける 快適な職場~」というコンセプトで整備しました。打合せスペースとモニターを多く配置し、ペーパーレスと職員間コミュニケーションの両立を目指しました。
一方で、集中ワークスペースを5か所設置し、多様な業務内容にも対応できるよう配慮をしています。
給水部


「ワクワクしながら、メリハリをつけて、仕事を成し遂げる。」というコンセプトで整備をしました。多彩な打合せスペースや集中ワークスペースを設置し、メリハリのある働き方ができる環境を整えました。
また、カーペットの配色を工夫することで、執務区域と共用区域の境界を明確にし、コンプライアンスにも配慮しました。
職員部


個人情報を多く扱う水道局職員部では、「コミュニケーションの壁なし、セキュリティの壁あり」というコンセプトで整備をしました。吸音パネルの打合せスペースや集中ブースによりコンプライアンスに配慮しました。
一方で、予約不要の打合せスペースを多数配置し、自由なコミュニケーションが可能な明るく活気ある職場を目指しました。
〇財務局
建築保全部


「開かれた執務環境と高い情報セキュリティの確保」をコンセプトに整備を行いました。来庁者との打合せスペースを入口に集中させ、執務スペースとの区別を明確にし、天井埋め込み式のサウンドマスキングシステムを導入しました。
また、多摩産材を活用した多様な人数に対応できる打合せスペースも整備しました。
〇総務局
総合防災部


限られたスペースを有効に活用し、平時はもちろん、発災時に職員が能力を発揮できるよう、「変幻自在・対応力」をコンセプトに整備しました。
オープン&フラットな議論の活性化を図るため、新たにハイテーブルを配置するとともに、平時のレイアウトから災害対応しやすいレイアウトに円滑に切り替えられるよう、移動が容易な机を配置しています。
〇建設局
公園緑地部


「自由に働く わくわく壁無しオフィス スマートな風通しのよい職場」をコンセプトに、打合せコーナーの拡充や、可動式パーテーションの導入により、様々な打合せに柔軟に対応できるオフィスを整備しました。
また、緑のカーペットに木製のベンチを配したフリースペースを設け、公園を想像できる開放的なコミュニケーション空間も創出しています。
河川部


「Team × Work ~潤い溢れる賑やかなオフィス~」をコンセプトに、コミュニケーションスペース(打合せコーナー)を拡充し、仕事(Work)をチーム(Team)で進めやすいオフィスを目指しました。
また、窓口のカーペットや什器類に水色や青色系を多く取り入れ、副題にあるように「潤い」感のある河川部らしさを演出しています。
〇保健医療局
保健政策部


「メリハリの追求」、「枠を超えたつながり」をコンセプトに整備しました。カーペットの色の変更により執務室とコミュニケーションスペースのメリハリをつけ、Web会議ブースやスタンディングミーティングスペースなどフレキシブルに打合せできるスペースの充実を図りました。
■レイアウト検討・各種契約準備【6期・7期】
6期整備部門については、整備当日のスケジュールや準備作業について説明会を実施しました。整備当日は、物品等の梱包作業、転用する什器や廃棄する什器にラベルを貼付する作業等を行います。
7期整備部門についてもレイアウトが確定し、2025年度のオフィス整備に向けた契約準備等を進めています。


■インプット・ワークショップ【8期】
各整備部門の担当者が庁内の先行整備部門や先進的な民間企業のオフィスを視察するとともに、e-ラーニングで未来型オフィスでの新しい働き方を学び、整備に向けて視野を広げました。
また、整備部門ごとにワークショップを開催し、従来オフィスの課題抽出や目指す働き方のコンセプトを設定した上で、新しいオフィスのレイアウトの方針を固めました。
(2) 未来型オフィスを支える新しいツールの導入
スマートフォン用Wi-Fiネットワーク機器について、調達手続を行い契約を締結しました。
また、コンバーチブルタイプ端末へのマスタイメージの書き込みを完了させ、今年度更新時期を迎える関係各局(主に事業所)に配付しました。
今後の取組 (2025年1~3月)
- 2023年度に整備した部門でのオフィスのバージョンアップに向け、新たな什器を調達します。
- 2024年度の整備(6期)を円滑に進められるよう整備に向けた準備を進めます。
- 2025年度の整備(7期、8期)について、レイアウト検討・各種契約準備を進めます。
- 未来型オフイス15フロアへのスマートフォン用Wi-Fiネットワーク機器を設置作業を進めます。 また、インターネット通信回線の強化を実施します。
- 来年度更新時期を迎える、主に学校に配付予定のコンバーチブルタイプ端末の調達に向けた準備を進めていきます。
2 事業所
進捗状況(2024年10~12月)
◆サービス最前線の事業所で、QOSの向上を目指した業務改革にチャレンジ!
東京都では、場所や時間を有効に活用した質の高い働き方への転換に向けて、すべての事業所でデジタルツールを活用した業務改革にチャレンジしていきます。サービス最前線の事業所で業務の生産性とQOSの向上を目指して、各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルを確立し、現場と協働して業務改革に取り組んでいきます 。
先行事業所で業務改善の好事例を創出することに加え、これまでの各現場のチャレンジを幅広く紹介することで横展開し、業務改善の輪を広げていきます。
◆取組紹介:中部下水道事務所(下水道局)
中部下水道事務所では、複数の担当者が紙で実施していたアナログな設計図面のチェック業務を、タブレット端末を活用しデジタル化することで、ペーパーレス化・業務の効率化を実現しました。
【タブレット端末活用による設計図面のチェック業務の様子】

同所では、これまで、設計委託の受託者が作成した下水道工事の設計図面を所内の複数の担当者がチェックし、修正点は紙に手書きで記入していました。各担当者がそれぞれ紙でチェックしていたため、修正の都度印刷の手間・コストがかかることに加え、他の担当者や管理者からチェックの進捗状況が見えにくいなどの課題がありました。
そこで、タブレット端末を活用し設計図面のチェック業務をデジタル化することで、図面チェックの都度、各担当者が印刷する手間・紙の印刷コストを削減しました。また、オンライン上で設計図面データを共有することで、複数人での業務が円滑になり効率化されました。さらには、管理者はこれまで担当者に直接、チェックの進捗状況を口頭等で確認していましたが、デジタル化されたことで、チェック状況が可視化されPC上で業務の進捗状況を確認することが可能となりました。
【取組前後のイメージ図】

このタブレット端末を活用した設計図面のチェック業務は、2024年度内に区部下水道事務所への横展開を進め、今後は多摩地域の水再生センターにおいて、2025年度に横展開することを予定しています。
今後の取組(2025年1~3月)
- 2025年までに約600の全事業所でデジタルを活用したワークスタイル改革の実践に向けて、各局・各事業所と協働しながら、引き続き好事例の創出とその横展開を進めていきます。
- 各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルの確立を目指し、先行事業所とデジタルサービス局との意見交換を通じて、課題の洗い出しやデジタルツール等の解決策提案、技術フォローなどの協働を一層強化します。
3 システム基盤のクラウド環境への転換
進捗状況(2024年10~12月)
(1)都庁のデジタル環境の強化
TAIMS更改(STEP3)の総合テストを完了させ、環境移行作業を開始しました。
(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換
クラウドインフラの設計が完了し、構築準備に着手しました。
また、標準仕様書及び概要説明書をアップデートし、各局の準備契約に向けた仕様書作成の支援を行うなど、引き続き関係各局への技術支援を伴走型で実施しました。
(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供
- ノーコード・ローコード開発ツールについては、講習会を実施しました。
- 統合ID管理ツールについては、SaaSの利用管理及び認証に関する要件を整理し、一部ツールへの導入の検討を進めました。
- 共有ファイルストレージについては、今年度移行部署への説明会を実施したほか、移行計画に基づき、ストレージの容量拡張と移行作業の準備を進めました。また、管理方法やアクセス権限設定の意向確認を行いました。
- 生成AIについては、引き続きメールマガジンによる周知を行うとともに、職員向けアンケートの結果を分析し、更なる生産性向上のための生成AIツールの検討を進めました。また、特定行政分野のデータを用いた文章生成AIの利用検証の効果分析を行い、2025年度以降の環境について検討を進めました。
今後の取組 (2025年1~3月)
(1)都庁のデジタル環境の強化
引き続き、TAIMS更改(STEP3)の移行作業を進め、新環境への移行を完了させます。
(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換
クラウドインフラの構築を進めるとともに、テスト設計や運用フロー設計についても進めていきます。
また、引き続き関係各局への技術支援を伴走型で実施していきます。
(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供
- ノーコード・ローコード開発ツールについては、より活用を進めるために講習会の改善に向けた検討を進めます。
- 統合ID管理ツールについては、設計・構築を進め、一部ツールに導入していきます。
- 共有ファイルストレージについては、今年度移行対象部署の現行ファイルサーバからのデータ移行を完了させ、ストレージ利用を開始します。また、2025年度第1四半期移行対象部署への説明会を実施します。
- 生成AIについては、引き続きメールマガジンによる周知を行うとともに、更なる生産性向上のための生成AIツールの先行導入を開始します。また、特定行政分野のデータを用いた文章生成AI環境の改善を進めます。
4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進
進捗状況(2024年10~12月)
- 様々な職場における工夫やコツ、好事例等をまとめた「テレワーク活用による最適な働き方に向けた取組・TIPs集」等を題材として、管理職及び管理職候補者を対象とする講習会(動画配信)を実施しました。
- 11月の都庁におけるテレワーク月間の取組として、テレワークの積極的な活用を呼びかけたほか、Microsoft TeamsのグループチャットやWeb会議機能の上手な活用例を紹介する等、テレワーク中の効果的・効率的なコミュニケーションを一層促しました。


今後の取組 (2025年1~3月)
- テレワークに関する職員満足度調査結果を分析し、それを踏まえ、満足度向上に向けた取組の検討を進めていきます。