2021年9月末、人事管理業務において手書きによる事務作業が長年の課題だった超過勤務事務について、システム機能のリリースを行いました。
本機能のシステム化により、手書きによる命令・申請と押印による承認の事務をシステムに置き換え、職員や所属長、給与担当者の業務の簡素化、効率化を図り、ペーパーレス・はんこレスを推進しています。
システム化を進めるにあたっては、ユーザーの声を聞きながら改善を重ねています。都は「ユーザーテストガイドライン」を作成し、「テストしないものはリリースしない」を合言葉としており、当システムにおいても、リリース前にユーザーテストやアンケートを実施してシステム改善を実施しました。またリリース後もシステムの操作性や効率性の更なる向上のため継続的にユーザの利用状況などを分析しています。
今回は、 開発時やリリース後において行ったUI注1/UX注2の改善に向けた取組についてご説明します。
注1 UI:「User Interface(ユーザーインターフェイス)」の略称。本記事では、ユーザーが使用するシステム画面等のデザインや操作性などのこと。
注2 UX:「User eXperience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称。本記事では、ユーザーが本システムを利用して得る体験のこと。
1 ユーザーテストの実施
実際にシステムを利用する職員に、システム全般についての使いやすさと基本機能である9機能の動作について事前に評価してもらいました。さらに、機能ごとに評価についてのコメントを記載していただきました。
ユーザーテストの評価結果が特に低評価であった機能については、具体的なコメントを基に改善方法を検討し、効果が高く実現可能である機能についてシステム改善を実施しました。
2 ユーザーアンケートの実施
超過勤務管理機能のリリースに先立ち、利用者の方が事前に各機能の操作を習熟できるように検証環境によるユーザー研修期間を設けました。さらにユーザー研修の結果生じた疑問やご意見を直接システムに入力できる機能を追加し、研修時にアンケートを実施しました。
アンケートの中で特にご意見が多かった項目については、より利用者の方にわかりやすさにつなげていくための取組について検討し、即時に対応可能なものから着手してきました。
3 システム化後の継続的な取組
システムの操作性や効率性の向上へ向けて、システム運用開始後に、利用者がシステムを操作した時間など、採取した各種システムのログの解析等を行っています。
例えば、特定の機能の操作時間についてリリース直後から操作時間を計測し、機能ごと・利用者ごとの操作性や習熟期間を分析するなど、更なるUI/UXの向上に取り組んでいます。
上記のログデータは、ユーザーの習熟度による操作時間の減少傾向を把握するために分析しました。今後システムの改善を行った際の効果測定に活かしてまいります。
システム化にあたり様々な取組を実施しましたが、今回のシステム化は業務パッケージソフトのカスタマイズをベースに行っており、基となるパッケージ製品の仕様制限などによる改修範囲の限界などもあることから、実際のところはまだまだ利用者である職員にとって使い勝手のよいUI/UXを兼ね備えたシステムには到達できていないと実感しています。
今後もユーザーである職員から意見を聞き、様々な観点から検討を重ねながらUI/UXの改善を行い、より便利なサービスを提供できるよう、取組を継続していきます。