進捗状況(2023年4~6月):デジタルツールを活用した東京の海外発信力強化プロジェクト【政策企画局】

プロジェクトのイメージ

進捗状況(2023年4~6月)

1.データドリブンで「伝わる国際広報」を実践

<広報におけるデジタルデータ分析の必要性>

「国内外に向けて広く情報を発信していきます」――行政の広報で割とよく見るタイプのフレーズですが、まず情報の受け手(=ターゲット)が何を求めているのかをよく分析しないと「伝わる広報」は実現できません。

特に、世界には約200ヵ国に80億もの人が暮らしており、居住地、職業、興味関心、文化、信条なども多種多様です。世界のどこかに暮らしている顔も姿も見えない不特定多数に、漠然と情報を発信することは、まるで砂漠に水をまくようなものです。

東京都では、国際広報の実行にあたり、デジタル分析・発信ツールの重要性を強く認識し、これらを活用したPDCAサイクルを回すことにより、効果的な広報を目指しています。

<デジタル分析ツール活用の実績

①ウェブサイト解析、ソーシャルメディア分析
・GAダッシュボードを構築し、ウェブサイトのパフォーマンスを可視化
・SNSやウェブ上で話題となっているトピックや傾向、国際潮流をソーシャルリスニングツール等で常時把握

②ターゲットインサイト分析
・地理的に離れた海外のターゲットの行動パターン、嗜好、関心事などを把握
・ターゲットが求めている情報や興味関心を高めるコンテンツに係る仮説を設定

③過去の情報発信運用の分析
・アナリティクスツールや広告レポートを用いたSNS等の投稿や広告キャンペーン分析
・拡散に成功したコンテンツや発信手法の特徴や傾向を把握

コンテンツ制作と発信に反映
・分析結果を基にコンテンツ制作と発信方法の改善を実施

2.行政情報のユニバーサルアクセスの実現

<誤訳通報システムの開発と運用>

昨今の多文化共生社会の進展やグローバル化により、行政が発信する情報へのユニバーサルアクセス(誰もが同じ情報にアクセスできること)の要請が増大しています。国内在住の非日本語話者も地方自治体にとっては等しく住民であり、情報を伝えるべきお客様です。

このため、日本語のホームページと同等量の情報を、他の言語でも迅速かつ高い翻訳精度で発信できるようにすることが必要です。

しかし、行政は膨大な情報を日々発信しており、それらを全て人力により翻訳し、発信することは現実的ではありません。そこで、東京都戦略広報部ではAI翻訳のHPへの導入を各局に要請し、日本語と同じ量の情報を、日本語と同時に英語でも発信できるようにしたほか、その訳出についても誤訳を解消するためのポストエディットを行っています。

AI翻訳と人力翻訳の特性の違い目的 コンテンツ 発信の特徴
AI翻訳 情報のユニバーサルアクセスを担保 日本語と同じ情報(完全対訳)
日本語と同量・同スピードで情報発信できるが、一部不正確な訳出となる可能性がある
➡重要なページについてはプリエディット・ポストエディットで正確性を補完する必要
人力翻訳伝わる広報の実現 本当に伝えたい/伝えるべき情報
高い品質で発信できるが、翻訳に時間と手間ががかかる
➡大切なコンテンツに限って使うのが現実的

従前の「機械翻訳」は訳出精度がイマイチという評価もありましたが、AI翻訳の導入により、その精度は飛躍的に高まりました。それでも100%正確な訳出が出来ているとは限らないため、生命財産に係る情報などは、必要に応じてプリエディット(日本語を別言語に翻訳しやすく改変すること)ポストエディット(訳された文章がおかしくないか確認すること)を行い、人の眼で確認することが重要となります。

戦略広報部では、各局のHPを巡回し、誤訳あるいは不適切な訳出を発見し、修正案を各局のホームページ担当者に通報することにより、都庁全体のHPによる英語発信の品質向上を目的とする「誤訳通報システム」を開発し、運用しています。

<誤訳通報システム運用の実績>

・AI翻訳導入局 12局
・誤訳報告数累計 355件(2022年6月21日時点)

今後の取組(2023年7~9月)

1.データドリブンで「伝わる国際広報」を実践

これまでの取組を継続し、PDCAサイクルを通じ国際広報のパフォーマンスを改善。

2.行政情報のユニバーサルアクセスの実現

継続して誤訳通報システムを運用し、各局のホームページによる英語発信強化を支援。