進捗状況(2022年10~12月):スタートアップ・シビックテックとの協働推進プロジェクト

プロジェクトのイメージ

スタートアップとの協働全体像
スタートアップとの協働 全体像

本プロジェクトは、スタートアップやシビックテックなど多様なプレイヤーとの協働を積み重ねることで強固な協働スタイルを構築し、社会課題を解決することを目指しています。

2022年10月~12月「Global Innovation with STARTUPS」 を発表するなど新たな取組を進めるとともに 「官民共創によるオープンイノベーション実践イベント」などに取り組みました。

1月~3月は、 「STARTUP Career Fair」や 「City-Tech.Tokyo」 を開催し、スタートアップとの協働をより盛り上げていくとともに、「 Tokyo OSS Party!! 」の実施などを予定しています。

1.スタートアップ協働の推進

各局のスタートアップ支援や連携を進める業務を担当する職員等から成るチームを令和4年8月に編成し、都内の民間スタートアップ拠点に都庁の「出島」を設置するなど、活発なコミュニケーション等を通じて、ワンチームで協働の取組を推進しています。

進捗状況(2022年10月~12月)

①新たなスタートアップ戦略「Global Innovation with STARTUPS」発表!!

・これまで都庁内横断のチーム「Team Tokyo Innovation」が、多くのスタートアップ、国や経済団体・大学などと率直に意見交換をしてきました。

・さらに、10月に選任した「スタートアップ戦略フェロー」とともに、チームでの議論を重ね、新たな戦略である「Global Innovation with STARTUPS」を令和4年11月24日に発表しました。

※ 「Global Innovation with STARTUPS」 の本編はコチラ

Global Innovation with STARTUPS

・この戦略ではグローバルx10、裾野拡大x10、官民協働x10で未来を切り拓く「10x10x10のイノベーションビジョン」を掲げています。“Born Global”をキーワードに、東京の強みを活かし、多様なプレーヤーと連携し、「異次元」のスタートアップ戦略を実現していきます!

10x10x10のイノベーションビジョン
スタートアップ戦略の展開

・この発表にあたっては、小池知事、宮坂副知事と、戦略に助言をいただいてきた藤本フェロー、名倉フェローが参加したクロストークを実施しました。詳しくは、noteをご覧ください。

クロストークのnote記事

②「スタートアップ・エコシステムサミット2022」開催

・都が関係者と一丸となって戦略を強力に推進するため、小池知事・宮坂副知事も出席し、12月5日(月)虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「Startup Ecosystem Summit(スタートアップ・エコシステム・サミット)」を開催しました。

・冒頭の主催者挨拶として、小池知事が「Global Innovation with STARTUPS」について説明を行いました。また、宮坂副知事が戦略の実現に向けた具体的な取組を説明し、東京都が「本気で」取り組んでいく意気込みを熱く語りました。

小池都知事登壇
宮坂副知事登壇

・内閣府、経済産業省、文部科学省の来賓挨拶の後、全国から集った計57社・団体が非常に濃密で素晴らしい2分間のライトニングトークを繰り広げました。

・スタートアップエコシステムの多くの関係者がコミュニケーションを深め、一丸となって取組を進めていくキックオフイベントとなりました。

集合写真

③国内外のスタートアップ関係者との意見交換

・都庁内横断のチーム「Team Tokyo Innovation」は、戦略の発表後も、切れ目なく国内外の様々なプレーヤーと意見交換を重ねています。

・11月30日には、CIC Tokyo内で、規制改革をテーマにワークショップを実施しました。海外からのスタートアップや投資家の呼び込みにあたっての課題などについて、様々な参加者の経験などを基に、意見交換が行われました。

ワークショップの様子

今後の取組(2023年1~3月)

・2月27日、28日には、スタートアップとのオープンイノベーションで持続可能な社会を実現するためのイベント「City-Tech.Tokyo」を開催します。スタートアップ300ブース出展、30か国・100都市から1万人の参加を目標に、インフラ・社会基盤、環境などのテーマについて、多様なアイディアとテクノロジーで新たな都市像を導くための具体的な協業や投資拡大に繋がる場を創出します。

※ 「City-Tech.Tokyo」 についての詳細はコチラ

・ CIC Tokyo内で 「場づくり」や「大学との連携」などをテーマに、国内外のスタートアップ関係者を交えたワークショップを行うなどの取組を推進していきます。

2.行政課題解決型ピッチイベント

アップグレードウィズトウキョウのロゴ

都政課題の解決に資するこれまでにない製品・サービスを提供するスタートアップによるピッチイベントや、行政機関、VCや企業等との交流の場を創出するイベントを開催し、行政課題の解決とスタートアップの成⾧を後押ししています。

進捗状況(2022年10~12月)

①ピッチイベントの開催

2022年10月~12月にピッチイベントを6回開催しました。

※イベントの様子は、UPGRADE with TOKYOのHPからご覧いただけます。

(10/4開催)
第21回ピッチイベント
「商店街支援に係る総合的な情報提供・発信」
優勝社 :株式会社インフォモーション(https://infomotion.co.jp/ )
提案内容:先進デジタル技術による商店街イベント情報発信「商店街の魅力発見マップ」

第21回登壇企業の皆様
第21回登壇企業の皆様

(10/26開催)
第22回ピッチイベント
「伝統工芸品の商品としての魅力を最先端技術を用いて発信」
優勝社 :株式会社 Catalu JAPAN(https://www.catalulp.net/)
提案内容:ショールーミング型ECとデータ連携による伝統工芸品の販売促進

第22回登壇企業の皆様
第22回登壇企業の皆様

(11/22開催)
第23回・第24回・第25回ピッチイベント
「電力のHTT(「H」減らす・「T」創る・「T」蓄める)の推進」
優勝社(第23回 「H」減らす):SOINN株式会社(https://soinn.com/)
提案内容:独自AIによる施設内の電力稼働状況検出システムを活用した節電の実現

優勝社(第24回 「T」創る):inQs株式会社(http://www.inqs.co.jp/)
提案内容:透明光発電ガラス導入による身近な発電環境場を増やした再生可能エネルギー使用促進

優勝社(第25回 「T」蓄める):エリーパワー株式会社(https://www.eliiypower.co.jp/)
提案内容:「電力需給ひっ迫」緩和に貢献する 蓄電池サービスのご提案

第23回・第24回・第25回登壇企業の皆様
第23回・第24回・第25回登壇企業の皆様

(12/20開催)
第26回ピッチイベント
「都民の力を活用した盛土の見守り(安全性確保)サービスの開発・普及・利用促進」
優勝社 :株式会社アーバンエックステクノロジーズ(https://urbanx-tech.com/)
提案内容:都民とAIがあんしんをサポート「官民協働盛土見守りシステム」

第26回登壇企業の皆様
第26回登壇企業の皆様

②製品・サービスを活用した協働

〇 累計協働件数 18件
第8回ピッチイベント優勝者(株式会社 ACSL)、第15回ピッチイベント優勝者(株式会社ナウキャスト)、第19回ピッチイベント優勝社(株式会社ABAL)がテーマ所管局※と契約を締結し、協働を開始しました。

※第8回:総務局、第15回:産業労働局、第19回:生活文化スポーツ局

今後の取組(2023年1~3月)

①ピッチイベントの開催

2023年も引き続き多様な行政課題の解決に向けて、ピッチイベント(第27回~)を開催していきます。

イベントの模様は東京都産業労働局チャンネル(YouTube)でライブ配信いたします。
是非ご覧ください。(過去に実施したイベントの様子も公開しています)

②製品・サービスを活用した協働

ピッチイベント優勝社の製品・サービスの早期活用を推進するため、速やかに協働プロジェクトの組成を目指していきます。 協働の様子はnoteで随時配信していますので是非ご覧ください。

3.キングサーモンプロジェクト

キングサーモンプロジェクトのロゴ

グローバル市場を席捲する課題解決型のスタートアップ(「キングサーモン企業」)を東京から輩出し、先端事業による東京の成長と社会課題の解決を目指しています

進捗状況(2022年10~12月)

先行導入プロジェクト概要

スタートアップと都政現場が共に課題解決に向け、取り組んでいます。現在、スタートアップ3社のプロダクト等について、都政現場において効果検証等を行う先行導入プロジェクトが始まっています。

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キングサーモン企業の画像
(株)Psychic VR Labの詳細    (株)エドガの詳細     GINZAFARM(株)の詳細

教育×XR:田無工業高校(建築科)×(株)エドガ

田無工業高校(建築科)と株式会社エドガの協働のもと、VR空間を活用した仮設工事計画の体験学習に向けた先行導入プロジェクトが始まりました。

田無工業高校では、工業分野において実践力を身につけた技術者を育成することを目指しており、充実した施設・設備はもちろんのこと、多くの意欲的な生徒が在籍しています。

こうしたフィールドで、VR だからこそ可能な学習コンテンツで生徒の理解度の向上に資するプロジェクトを実施しています。

先行導入プロジェクトの内容

田無工業高校(建築科)には、危険が伴う実習を行う際の事前学習の高度化や、危険性やリソースの制約等により体験できない教育を先端プロダクト・サービスの活用によって実現したい、という課題がありました。

これに対して、 株式会社エドガが独自で開発しているVR学習システム「KEIKEN CLOUD」を活用することで次の内容を検証するプロジェクトを開始しました。

  • 工業高校の学習現場にあわせたVR学習コンテンツを構築・活用
  • 学校では体験できないような建築現場での危険回避シミュレーション等で教育効果を向上

株式会社エドガは、「まさに現場にいるような経験から安全を学ぼう」を合言葉に、先生や生徒たちの生の声を聴きながら、仮設工事の足場学習に関するVR教材を創り上げてきました。
そして、12月14日・16日には、実際に仮設工事計画の実習授業にて建築科3年生の生徒たちがVRの足場教材を体験しました。

KEIKEN CLOUD上の仮設工事計画(足場外観)
KEIKEN CLOUD上の仮設工事計画(足場外観)
KEIKEN CLOUD上の仮設工事計画(足場に登ったときの様子)
KEIKEN CLOUD上の仮設工事計画(足場に登ったときの様子)

KEIKEN CLOUD上の足場教材は没入感・リアリティがあり、安全に高所作業を体験できる学習に加え、組立に係る先生の事前準備軽減が期待されます。さらに、通常の授業では体験できない10階建ての足場体験を通じ、作業の危険性やリスクについて理解を深めることができます。

通常の足場
通常の足場

今回は足場の組立・解体に先んじて、組立作業の流れや使用する材料に関する知識をVR空間上で学びました。

レクチャーを受ける様子
レクチャーを受ける様子
VR空間で材料を動かす様子
VR空間で材料を動かす様子

授業の様子

最後に生徒たちとディスカッションを行い、「操作性を調整することで、材料の重さがVR空間で表現されている」「資材自体の細部のリアリティが高い」など生徒から意見をいただきました。さらに、今後VR空間上での足場組立の体験を想定しています。   

今後も引き続き、継続的な体験や意見交換などを通して、生徒の理解度・興味関心から先生の準備のしやすさなどに至るまで、株式会社エドガのプロダクトの有用性を確認していきます。(2023年3月までプロジェクト実施予定)

詳細はキングサーモンプロジェクトのホームページ(https://kingsalmon.tokyo/)でも随時発信いたしますので、ぜひご注目ください。 

今後の取組(2023年1~3月)

  • 他の都政現場における先行導入プロジェクトも着実に進み、今後はスタートアップと都政現場における協働の成果発信を行っていきます。
  • 都政現場の課題やスタートアップの技術・プロダクトに関する調査を実施し、2023年度に取り組むプロジェクトテーマの検討を引き続き進めていきます。

4.ユーザーテスト

QOS(クオリティ・オブ・サービス)の高い、誰もが使いやすいデジタルサービスを提供するために、 都は職員や都民等向けのデジタルサービス全般に対してユーザーテストを行うこととし、具体的な手法を「ユーザーテストガイドライン」としてまとめております

進捗状況(2022年10~12月)

都民をテスターとしたユーザーテストの実施に向けた検討

今後、更に都民目線に立った良いサービスを創り上げていくために、テスターを実際のユーザーとなる都民に拡大していくことが重要です。そのため、都民をテスターとしたユーザーテストについて実施フロー等の具体化に向けた検討を進めました。

都民目線でのサービスをより効果的に実現するためには、企画・設計等の早い段階からユーザーの意見などを取り入れていくことが重要です。このような上流工程の取組についても整理・検討を行いました。この内容を盛り込み、1月27日にユーザーテストガイドラインの改訂版をリリースします(予定)

今後の取組(2023年1~3月)

テスターの拡大や、上流工程の取組などについて庁内浸透に向けてガイドラインの周知や実践に向けたサポート体制の構築検討を進めます。

5.シビックテックとの協働

東京を取り巻く環境が大きく変化し、予測困難で複雑化している一方、次々と発生する社会課題に対して、迅速に対応していくことが必要であり、そのためにシビックテックとの協働が必要です。

そのため、シビックテックや企業等がオープンデータ等を活用して新たなサービスを創出していく、官民協働スタイルの構築(オープンデータカタログサイト等)や、地域の行政課題とシビックテックのノウハウをマッチングさせ、行政とシビックテックの連携により地域課題解決を推進する場としてプラットフォームの構築(官民共創デジタルプラットフォーム)を行っています。

都とシビックテックとの協働による新たなサービス創出イメージ

※オープンデータについてはオープンデータ徹底活用プロジェクト(コチラ)の再掲。

進捗状況(2022年10~12月)

官民共創デジタルプラットフォーム

第2四半期に実施した都内区市町村課題の調査結果をもとに課題掘り起こしを進め、「野生動物による農作物被害軽減策」や「霊園マップのデジタル化」などの地域課題を提供いただきました。また、来年2~3月に開催するTokyo OSS Party!!に向けてイベントプログラムの検討を開始しました。

官民共創によるオープンイノベーション実践イベントの実施

・都内の自治体職員とシビックテックとの共創を積極的に推進するために、12月23日に「官民共創によるオープンイノベーション実践イベント」を実施しました。

・台湾デジタル担当政務委員であるオードリー・タン氏の基調講演(事前撮影)に加えて、東京都の宮坂副知事、Code for Japanの関代表理事、ロスキレ大学(デンマーク)の安岡准教授によるパネルディスカッションを実施し、国内外の事例を通じて官民共創の推進について学び、考える機会としました。約200名の方に、現地会場・オンラインで視聴いただきました。

オードリー・タン氏の登壇
パネルディスカッション

・その後、現地会場においては、一般応募によるシビックテックと都内自治体職員がグループを作ってワークショップを行いました。グループごとにテーマに沿って、課題解決策を話し合い、発表を行うことで、シビックテックとの共創の体験を行いました。参加者それぞれにとって、新しい視点やアイデアを獲得し、その後に活かせる学びを得るきっかけとなりました。

ワークショップの様子

今後の取組(2023年1~3月)

官民共創デジタルプラットフォーム

2月上旬を目途に、地域課題とシビックテックをつなぎ、共創を推進する場として「官民共創デジタルプラットフォーム」 を立ち上げます。

Tokyo OSS Party!!

・1月中旬より、Tokyo OSS Party!!にご参加いただけるシビックテックの方の募集を開始しました。Tokyo OSS Party!!は⾃治体と協働し、「野生動物による農作物被害軽減策」や「霊園マップのデジタル化」など、提示のあった課題解決までを体験できるイベントです。
最新情報はこちら(Twitterリンク)で発信していきますので、東京都と都内自治体の課題解決に興味のあるシビックテックの皆様はぜひご参加ください。

Tokyo OSS Party