進捗状況(2023年4~6月):都庁のワークスタイル変革プロジェクト

都庁のワークスタイル変革プロジェクトアイキャッチ

 都庁のワークスタイル変革プロジェクトでは、都庁本庁舎での未来型オフィス整備、デジタルツールを活用した事業所の業務改革、システム基盤のクラウド化等の取組を通じて、場所や時間を柔軟に活用した質の高い働き方への転換を目指していきます。

目次
1  都庁本庁舎
 (1)未来型オフィスの整備
 (2)未来型オフィスを支える新しいツールの導入
2 事業所
3 システム基盤のクラウド環境への転換
4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進

1 都庁本庁舎

進捗状況(2023年4~6月)

 都庁本庁舎では、2022年度(昨年度)までの過去3年間で25部門の未来型オフィス整備を実施しました。2023年度(今年度)は更に加速させ、35部門の整備を実施します。

2025年度までの整備スケジュール

(1) 未来型オフィスの整備

【2022年度に整備した17部門の利用満足度】

 2022年度に未来型オフィスを整備した部門の職員に対して、整備前と整備後それぞれのオフィスに対する利用実感の変化を調査するアンケートを実施しました。
 オフィスの環境について、以前のオフィスと比べて未来型オフィスに「満足」又は「おおよそ満足」と回答した職員は11ポイント高い結果になりました。

整備前と整備後のアンケート集計結果比較

 昨年度整備部門においても未来型オフィスは前向きに受け止められており、アンケートで回答された肯定コメントの中では「業務が効率化できた」「打合せが行いやすい」といった内容が多く寄せられました。

アンケート結果から集約した主な肯定コメント

 一方で、課題コメントとして「新たにフリーアドレスを開始したが席が固定化しており、生かしきれていない」、「新たに設置された打合せスペースでの会議の内容が漏れ聞こえる」といった意見も寄せられました。

アンケート結果から集約した主な課題コメント

 今後は、こうしたアンケートで寄せられたコメントも踏まえて、整備部門に対して整備後の課題に関するヒアリングを実施します。アンケートとヒアリングを経て課題を洗い出し、その解決に向けて整備したオフィスの更なるバージョンアップを実施する予定です。また、ハード面だけでなく、運用方法などのソフト面についてもフォローするガイドブックを作成・展開し、整備されたオフィスを最大限活用できるよう対応を進めます。

【未来型オフィス整備の拡大】

 2023年度(今年度)は1期と2期に分けて全35部門で整備を行います。
 過去3年で整備した25部門を大きく上回る数を実施予定です。これまでのノウハウを活用し、整備を加速していきます。整備に当たっては整備部門職員が主体となり、レイアウト検討などを進めていきます。第1四半期は、「インプット」「ワークショップ実施」を行いました。

令和5年度整備予定の部門一覧
1期・2期整備スケジュール

インプット
 第1四半期には、各整備部門担当者が庁内の先行整備部門や先進的な民間企業のオフィスを視察しました。また、e-ラーニングで未来型オフィスでの新しい働き方を学び、整備に向けて視野を広げました。

ワークショップ実施
 整備部門ごとにワークショップを開催。これまでのオフィスの課題抽出や目指す働き方のコンセプトを設定し、新しいオフィスのレイアウトの方針を固めました。

(2) 未来型オフィスを支える新しいツールの導入

 第1四半期では、Wi-Fi敷設及びインターネット回線強化に向けた要件定義を行うとともに、仕様書を作成し、調達手続に着手しました。
 2022年10月以降、一部の未来型オフィス職場に試験配備した2in1端末※1の検証結果を踏まえ、現行のTAIMS個人端末については、今後3年間で全てコンバーチブルタイプ※2の端末に更新することとし、今年度分の調達手続を進めています。
 ※1 タブレット型端末としても使用できるノートPC
 ※2 キーボードを裏返すタイプの2in1端末

今後の取組 (2023年7~9月)

  • 調査によって把握した2022年度(昨年度)整備部門の課題に対して、解決のための方策を検討していきます。
  • 今年度整備部門のレイアウトを決定し、オフィス整備に向けて什器の調達・運搬等の契約準備を進めます。
  • 第4四半期中のWi-Fi敷設作業の完了に向けて、引き続き調達手続を進めた上で、Wi-Fi及びインターネット通信回線を敷設し、実装に向けた検証を重ねていきます。
  • 端末のリース契約を締結するとともに、調達した端末をTAIMS端末として使えるようにするためのマスタイメージ作成を行います。

2 事業所

進捗状況(2023年4~6月)

◆職員のアイデアを形に変えて、全ての事業所で業務改革にチャレンジ!

  東京都では、場所や時間を柔軟に活用した質の高い働き方への転換に向けて、すべての事業所でデジタルツールを活用した業務改革にチャレンジしていきます。職員のアイデアを形に変えて、すべての事業所で仕事のやり方とQOS(クオリティ・オブ・サービス)をバージョンアップさせるため、各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルの確立を目指し、現場と協業して業務改革に取り組んでいきます 。

 先行事業所で業務改善の好事例を創出することに加え、これまでの各現場のチャレンジを幅広く紹介するこで横展開し、業務改善の輪を広げていきます。

◆取組紹介: 東部第二下水道事務所 (下水道局)

 東部第二下水道事務所・梅田ポンプ所では、誰でもその場で業務手順の解説動画を確認できる点検操作・経路案内・異常判別支援システムを作成しました。
 限られた人員体制で効率的に若手職員を育成するため、現場がボトムアップで仕組みを考えました。タブレット端末1つあれば、現場に設置した二次元バーコードを通じて、瞬時に必要な手順を確認できます。使い方を極力簡単にしたことで、若手職員だけでなく、普段IT機器を使い慣れないベテラン職員からも大好評です。

東部第二下水道事務所・梅田ポンプ所の機械

 導入にあたり、ポンプ所内の機械の操作方法等について、職員自ら約20の解説動画・マニュアル等を作成しました。各点検ポイントに貼られた二次元バーコードをタブレット端末で読み取ると、該当する動画やその説明文、マニュアルなどがワンタッチで表示されます。

 この仕組みを業務に取り入れることで、
・点検ポイントごとに、それぞれの手順を必要な場面で迷わず確認できる
・音の変化など、職員の経験による判断が必要なものも動画で学習できる
・巡回経路を歩く録画を作成することで、作業者目線での経路確認ができる

など、たくさんのメリットが生まれました。若手職員がベテラン職員の知見を継承しながら、1人でも正確に業務を行うことができます。

現場に貼り付けられた二次元バーコードをタブレット端末で読み込む様子

▲現場に貼り付けられた二次元バーコードをタブレット端末で読み込み、解説動画を確認しながら制御盤を操作することで、素早く確実に手順を身に着けることができる。

主要なポンプの制御盤に設置された二次元コード

▲主要なポンプの制御盤など、各点検ポイントに、それぞれ該当の解説動画・マニュアル等を表示する二次元バーコードを設置している。

「現場で動画を見ながら手順を確認できるので、1人でも確実に業務を行うことができ、自信になりました」と昨年度入都の水越啓人さん。この取組は都庁DXアワード2023で知事賞を受賞しました。

職員一同の写真

今後の取組 (2023年7~9月)

  • 2025年までに全600事業所でのデジタルを活用したワークスタイル変革の実践に向けて、各局・各事業所と協働しながら、引き続き好事例の創出とその横展開を進めていきます。
  • 各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルの確立を目指し、先行事業所とデジタルサービス局との意見交換を通じて、課題の洗い出しやデジタルツール等の解決策提案、技術フォローなどの協働を一層強化します。

3 システム基盤のクラウド環境への転換

進捗状況(2023年4~6月)

(1)都庁のデジタル環境の強化

 TAIMSの機能を大幅にクラウド環境に移行し、都庁のデジタル環境を強化します。
 第1四半期では、TAIMS(STEP3)に向けて、要件定義を実施し、設計委託の調達手続に着手しました。

(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換

 都庁の業務システムが接続するネットワーク及びクラウドインフラ構成の概要を記した概要説明書を作成するとともに、各局等業務システムの現状を把握するためのアンケート調査実施しました。

(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供

 便利なデジタルツール・統合プラットフォームを提供し、業務の効率化を実現していきます。
 第1四半期ではノーコード・ローコード開発ツールの調達に向け、市場製品調査を行うとともに、ユーザーヒアリングを実施しました。また、ID統合管理ツールやファイル共有ストレージについては、各クラウドサービスが提供する機能や通信等の制限事項に関する調査検討を実施したほか、ストレージへの移行計画及び利用ルールの策定に向け、各局のストレージの利用状況等に関する調査を実施しました。
 さらに、デジタルサービス局職員が生成AIを安全に利用できる環境を整備しました。

今後の取組 (2023年7~9月)

(1) 都庁のデジタル環境の強化

 今後は、TAIMS(STEP3)の基本設計を進めていきます。

(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換

 クラウドインフラ構築に向けて基本設計に着手するほか、要件の精緻化を進めます。また、クラウドインフラ概要説明書及び基本方針を順次改定し、7月末を目途に各局に展開します。

(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供

 ノーコード・ローコードについては、開発ツールの仕様書を作成し、調達業務を進めます。また、ID統合管理ツール及びファイル共有ストレージについては、引き続きクラウドサービスが提供する機能や通信等の制限事項に関する調査検討を実施するほか、ファイル共有ストレージについては、各局への詳細ヒアリングを実施し、移行計画及び利用ルールの策定を進めます。
 さらに、生成AIの利用環境の全局展開に向けた準備を進めます。

4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進

進捗状況(2023年4~6月)

【テレワークの活用】

テレワークを活用した柔軟な働き方の推進に向けて、テレワーク時のコミュニケーション、環境、業務遂行状況などについての職員の満足度に関する調査を実施しました(2023年度1回目)。
 本調査は、2022年度から行っており、年2回程度実施していく予定です。2025年度に、テレワークについて総合的に満足・やや満足と回答する職員を80%以上とする目標の達成に向け、調査結果の分析・満足度向上に向けた取組を継続的に行っていきます。

調査結果の分析・満足度向上に向けた取組の図

【民間シェアオフィスの活用】

 場所にとらわれない柔軟な働き方を促進するため、未来型オフィスで働く職員を対象
に、民間シェアオフィスの利用を2022年6月から開始し、今年度も活用していく方針で
す。民間シェアオフィスを利用した職員からは、以下のような声が寄せられました。

  • テレワークも行いやすく、民間オフィスの活用など働き方が多様化され、ライフ・ワーク・バランスが大いに促進される期待がある。
  • 民間シェアオフィスが個室形式で集中できるため、非常に業務がはかどる。
  • 民間シェアオフィスと公用スマホが生産性の向上に寄与している。

今後の取組 (2023年7~9月)

  • テレワークに関するノウハウ等をまとめた「ワークルール」に、様々な職場におけるテレワーク活用に関する工夫やコツ、好事例等を新たに盛り込み、より実用的なものへブラッシュアップしていきます。
  • 時差勤務・フレックスタイム制・テレワーク等を組み合わせた柔軟で多様なワークスタイル例を全庁に紹介し、活用を呼びかけていきます。