都庁のワークスタイル変革プロジェクトでは、都庁本庁舎での未来型オフィス整備、デジタルツールを活用した事業所の業務改革、システム基盤のクラウド化等の取組を通じて、場所や時間を柔軟に活用した質の高い働き方への転換を目指していきます。
目次
1 都庁本庁舎
(1)未来型オフィスの整備
(2)未来型オフィスを支える新しいツールの導入
2 事業所
3 システム基盤のクラウド環境への転換
4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進
1 都庁本庁舎
進捗状況(2024年1~3月)
都庁本庁舎では、2022年度までの過去3年間で25部門の未来型オフィス整備を実施しました。2023年度は更に加速させ、累計61部門の整備が完了しています。
※ 部門数は各年度末整備済み部門合計、2023年度以降は2023年12月現在
(1) 未来型オフィスの整備
【2022年度に整備した17部門のバージョンアップ】
2022年度に未来型オフィスを整備した17部門で、それぞれのオフィスの改善点について議論、検討してきましたが、 第4四半期は各部門での検討の結果をもとに調達手続を進めていたソリューションを実装しました。
【未来型オフィス整備の拡大】
これまで検討を進めてきたオフィスレイアウトに基づき、第4四半期では1期・2期整備のオフィス整備を実施しました。1期~5期の全体スケジュールは以下の通りです。
①2023年度整備の状況(1期・2期)
各部門で検討した業務内容に応じたレイアウトを踏まえて、第4四半期では1期・2期整備の15部門の整備が完了しました。
以下、各局の職員の皆様から、整備に当たっての工夫やオフィスのアピールポイントなどを伺いました。整備後のオフィスの様子とともにご紹介します。
■財務局(財産運用部)
職員のニーズを適切に汲み取りミーティングスペースの種類・数量を充実させて、庁内外との調整の更なる円滑化を図りました。
また、フリーアドレス導入のほか集中ワークスペース設置などにより、業務内容に応じて職員自らが仕事場所を選びメリハリのある働き方ができる環境を整えました。
■都市整備局(基地対策部・都市づくり政策部・総務部)
基地対策部
都市づくり政策部
総務部
「新たなチャレンジが生まれるオフィス」をコンセプトに整備し、コミュニケーションスペース(打ち合わせコーナー)の拡充や集中スペースの新設を行いました。
また、多様な働き方を前提としつつ、必要な際には全員の出勤を可能とする席数確保をしたレイアウトとしました。
■住宅政策本部(都営住宅経営部・民間住宅部)
都営住宅経営部
「フレキシブルな環境と気持ち」をコンセプトに、その日の業務内容や気分に合わせて”フレキシブル”に座席を選ぶことができるよう、様々な用途に合わせた座席を設置しました。
打ち合わせをする機会が多い部のため、可動式の椅子を用いた広めの打ち合わせスペースを設けました。最大20人まで、人数に応じた様々な打ち合わせに対応できるようになりました。
民間住宅部
「みんな明るく、気分良く働ける民間住宅部」をコンセプトに整備しました。ソファ席や中央に緑を配置したビッグテーブルなどを設け、遊び心やフレキシブルさを取り入れ、目的や気分に応じて業務ができる環境を整えました。
また、執務デスクを可能な限り減らし、背の高い什器を壁際に配置することで、執務室全体が開放的な空間になっています。
■環境局(総務部・資源循環推進部)
総務部
「ノーボーダーオフィス」をコンセプトとし、『全面フリーアドレス化』とともに、フロアを集中作業・コミュニケーション等の用途別に使い分けるゾーニングにより、打合せスペースを充実化し、部内のコミュニケーションを活発化させるオフィス環境を実現しました。
資源循環推進部
「サステナブル エンジョイ!!」をコンセプトに、コミュニケーションテーブルを部内にバランスよく配置しました。
窓口エリアは青色カーペットで目立たせ、来庁者に分かりやすい窓口配置としました。執務エリアには、Web会議ブースや個人ブース、立ち作業にも使えるミドルハイテーブルを設置するなど、各職員が、業務内容に応じて取り組みやすい環境を選べるオフィスを目指しました。
■港湾局(総務部)
「個の力から全体の力 ~Working anywhere!~ 」をコンセプトに、職員同士が気軽にコミュニケーションの取れるソファーブースや、仕事に集中できるブース席等を配置し、多様な働き方に対応できる環境を整えました。
また、執務室奥と前面に打合せスペースを集約し、様々なタイプのテーブルを配置することでメリハリのある開放感溢れるオフィスに仕上がりました。
■教育庁(都立学校教育部・指導部・グローバル人材育成部)
都立学校教育部
「シームレスなコミュニケーション、結びつく力」をコンセプトに、限られた面積の中で席数を確保しつつ、打合せスペースを大幅に増やし充実させました。業務の効率化とともに職員同士のコミュニケーションが一層活発になっています。
同じフロアの他部(指導部、グローバル人材育成部)との同時整備により、フロア全体で統一感を出しました。
指導部
「柔軟な発想は柔軟な働き方から」をコンセプトに整備しました。事前予約制ではないオープンな打合せスペースを充実させることで、課を越えた情報共有や協働体制が取りやすく、部一体となって働けるような環境を整えました。
また、機密性の高い業務や集中力の必要な作業を行うため、半個室型の集中ブースを設けました。
グローバル人材育成部
4月に発足したばかりの“グロー部”では、職員一丸となってチームを作っていけるよう「ONE TEAM」をコンセプトにしました。
国内外問わず出張も多く、また日々目まぐるしく変わる情勢の中で部内の情報共有をしっかりと行えるよう、コミュニケーションが取りやすいテーブルを多く配置しています。
■選挙管理委員会事務局
「オープン&フラットな天空オフィス」をコンセプトに、過ごしやすく見通しの良い空間を目指しました。ソファエリアを広くとり、テーブル席を複数置くなど、コミュニケーションスペースを充実させ、通常時も選挙時も協働作業が捗るようにしました。
また、40階という高層階を活かし、眺望の良い窓際にも業務スペースを設けました。
■労働委員会事務局
「メリハリつけて、チャレンジし続ける。One Team 都労委!!」をコンセプトに、高集中スペースとコミュニケーションスペース双方を充実させることで、業務内容に応じて働く場所を選択でき、部署の垣根なく交流を図ることができるオフィスを目指しました。
また、窓口や相談ブースについては、利用者が安心して相談できるよう落ち着いた色調としました。
■収用委員会事務局
「都民に安心と信頼を、職員にワクワクするやりがいを」をコンセプトに整備し、プライバシーに配慮した打合せコーナーや集中ブースを設置し、業務内容に応じて柔軟に働ける環境を整えました。
スカイツリーが臨める窓側には、様々な用途で利用できる広めのコミュニケーションスペースを設け、明るく開放的なオフィスになりました。
②2024年度整備の状況(3期・4期・5期)
3期・4期整備部門に加え、5期整備部門もオフィスレイアウトが確定し、契約・整備に向けた準備を行いました。
(2) 未来型オフィスを支える新しいツールの導入
第4四半期では、Wi-Fi及びインターネット通信回線の強化に向けた敷設工事が35フロアで完了し、ユーザーへの供用を開始しました。また、2024年度工事分の調達に向けた入札を実施しました。
さらに、2024年度更新時期を迎える、主に事業所に配付予定のコンバーチブルタイプ端末について調達に向けた入札を実施しました。
今後の取組 (2024年4~6月)
- 2023年度に整備した35部門でのオフィスのバージョンアップに向け、各部門で検討を行います。
- 6期整備部門のオフィスレイアウト確定に向けたヒアリング等を実施します。
- 2024年度の整備(3期~6期)を円滑に進められるよう契約・整備に向けた準備を進めます。
- 引き続き、Wi-Fi及びインターネット通信回線の強化に向けた敷設工事を進めていきます。
- 更新予定のコンバーチブルタイプ端末についての契約手続を完了させ、TAIMS端末として利用できるよう、マスタイメージの作成を行います。
2 事業所
進捗状況(2024年1~3月)
◆サービス最前線の事業所で、QOSの向上を目指した業務改革にチャレンジ!
東京都では、場所や時間を有効に活用した質の高い働き方への転換に向けて、すべての事業所でデジタルツールを活用した業務改革にチャレンジしていきます。サービス最前線の事業所で業務の生産性とQOSの向上を目指して、各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルを確立し、現場と協働して業務改革に取り組んでいきます 。
先行事業所で業務改善の好事例を創出することに加え、これまでの各現場のチャレンジを幅広く紹介することで横展開し、業務改善の輪を広げていきます。
◆取組紹介: 各建設事務所(建設局)
建設局では、道路、河川、公園などの施設の整備や維持補修、災害発生時などの対応にウェアラブルカメラを導入することで、迅速な情報共有および正確な対応ができる取組を開始しました。
インフラの整備や維持管理、災害時の対応など幅広い業務を担う中で、特に災害時には都民の生活に多大な影響が生じる場合があり、迅速かつ的確に情報共有が可能な体制を整備する必要がありました。そこで、先行事務所にウェアラブルカメラを先行導入し、実際の運用方法を検討しながら、スモールスタートで業務改善に取り組みました。
ウェアラブルカメラを導入することにより、現場の状況を現場・事務所・本庁において映像と音声でリアルタイムに共有し、遠隔から瞬時に的確な指示や判断が可能になりました。また、工事安全パトロールでの遠隔現場確認や狭隘な施工空間での現場から映像を配信するweb見学会で使用するなど、職員の働き方改革や人材育成にも効果をもたらしました。
2023年度中には全ての建設事務所に展開し、建設事務所全体でウェアラブルカメラの展開を完了しました。
(改善後の業務イメージ)
今後は、今回の取組が災害への備えとなるとともに、技術系業務の生産性向上を図るきっかけとすることで、現場による自律的な業務改革につなげていきます。
今後の取組 (2024年4~6月)
- 2025年度までに約600の全事業所でデジタルを活用したワークスタイル改革の実践に向けて、各局・各事業所と協働しながら、引き続き好事例の創出とその横展開を進めていきます。
- 各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルの確立を目指し、先行事業所とデジタルサービス局との意見交換を通じて、課題の洗い出しやデジタルツール等の解決策提案、技術フォローなどの協働を一層強化します。
3 システム基盤のクラウド環境への転換
進捗状況(2024年1~3月)
(1)都庁のデジタル環境の強化
第4四半期は、TAIMS更改(STEP3)に向け、詳細設計を進めました。
また、2024年度に更新する機器について調達に向けた入札を実施しました。
(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換
調査結果及び各局へのヒアリングを基に、現時点の転換予定を年次ごとに取りまとめた計画を策定するとともに、概要説明書及び標準仕様書を作成しました。
また、クラウドベースへの転換が優先される業務システムについて、関係各局への技術支援を実施しました。
(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供
- ノーコード・ローコード開発ツールについては、実際に職員が各開発を行い、開発したプログラムをメンテナンスする視点も加え、利用する際の留意点などをまとめたガイドブックを作成しました。
- ID統合管理については、2024年度のSaaSの認証・認可基盤の構築に向けた要件整理の検討を進めました。
- ファイル共有ストレージについては、先行2局(ファイルサーバ)のデータ移行を実施するとともに、利用ルールを策定しました。
- 生成AIについては、より長文のプロンプトが入力可能な利用モデルへの入替えを実施しました。
今後の取組 (2024年4~6月)
(1)都庁のデジタル環境の強化
TAIMS更改(STEP3)に向け、詳細設計を完了させるとともに、開発・テスト・新環境への移行作業を進めていきます。
(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換
クラウドインフラ構築に向けて詳細設計を進めていきます。
また、2025年度にクラウドインフラへの移行が見込まれる業務システムを中心に、関係各局への技術支援を実施し、クラウド転換を推進していきます。
(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供
- ノーコード・ローコード開発ツールについては、関係各局にガイドブックを周知し、人材育成などでの活用に向けて働きかけを行っていきます。
- ID統合管理については、SaaSの利用管理を補完する「デジタル利用管理システム(仮称)」の設計、構築を進めていきます。
- ファイル共有ストレージについては、容量拡張等を進めていくとともに、利用ルールの見直しや2025年度以降の大量移行の手順の確認、関係各局との調整を進めていきます。
- 生成AIについては、引き続き、利用環境の改善に向けた検討を進めます。
4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進
進捗状況(2024年1~3月)
【テレワークの活用】
- 12月に実施したテレワークに関する職員満足度調査の結果を公表しました(2023年度2回目)。テレワークについて総合的に満足・やや満足と回答する職員の割合は約73%となりました。
今後の取組 (2024年4~6月)
- 2025年度に、テレワークについて総合的に満足・やや満足と回答する職員を80%以上とする目標の達成に向け、テレワークに関する職員満足度調査の分析結果や課題を踏まえ、満足度向上に向けた取組の検討を進めていきます。