進捗状況(2024年7~9月):都庁のワークスタイル変革プロジェクト

第2四半期表紙_scp1

 都庁のワークスタイル変革プロジェクトでは、都庁本庁舎での未来型オフィス整備、デジタルツールを活用した事業所の業務改革、システム基盤のクラウド化等の取組を通じて、場所や時間を柔軟に活用した質の高い働き方への転換を目指していきます。

目次
1  都庁本庁舎
 (1)未来型オフィスの整備
 (2)未来型オフィスを支える新しいツールの導入
2 事業所
3 システム基盤のクラウド環境への転換
4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進

1 都庁本庁舎

進捗状況(2024年7~9月)

 都庁本庁舎では、2023年度までの過去4年間で計61部門の未来型オフィス整備を実施しました。2024年度は更に加速させ、33部門の整備を実施します。

整備部門数一覧_scp1
 ※ 部門数は各年度末整備済み部門合計、2023年度以降は2023年12月現在

(1) 未来型オフィスの整備

① 2023年度に整備した部門のバージョンアップ

 2023年度に未来型オフィスへ整備した部門に対して、アンケート調査の結果を共有するとともに、オフィス整備後の課題に関するヒアリングを実施しました。各部署からは、騒音・セキュリティの問題、打合せスペース等の不足など様々な意見が出ました。
 今後は、課題に対する解決策を検討し、新たな什器の調達に向けた手続を行います。

② 未来型オフィス整備の拡大

 2024年度は、3期から6期にかけて整備を行うとともに、2025年度に整備を予定している7期及び8期の検討を開始します。
 第2四半期は、3期及び4期(一部)の整備を実施しました。また、4期、5期及び6期の「レイアウト検討・各種契約準備」を進めるとともに、7期については、「インプット」及び「ワークショップ」を実施しました。

R6年度の整備_scp1

 ※ 一部のフロアのみ整備

整備後のオフィス紹介【3期・4期(一部)】

〇主税局
税制部(評価審査課)

 議論は熱く、仕事はスマートを目指し「ホット&クール」をコンセプトに整備しました。
 昭和の香りがした応接間は、暖色を中心とした打合せスペースに、電子機器と紙が飽和していた執務室は、群青を中心としたすっきりとしたワークスペースになり、コミュニケーションと集中を両立できるオフィスに生まれ変わりました。

〇生活文化スポーツ局
スポーツ総合推進部・国際スポーツ事業部

 スポーツ総合推進部・国際スポーツ事業部・スポーツ施設部の3部一体で「ONE TEAMに変わるオフィス」をコンセプトに整備を行いました。
 部署の垣根のない執務席や打合せスペースを設ける等、コミュニケーションが活性化するよう工夫しました。
 また、フリーアドレス化に伴い、気軽に集まって話すことのできる予約なしの打合せスペースも充実させています。

スポーツ施設部

 スポーツ総合推進部・国際スポーツ事業部・スポーツ施設部の3部一体で「ONE TEAMに変わるオフィス」をコンセプトに整備を行いました。 
 円滑なコミュニケーションを実現し、組織間の連携を強化するため、業務や打合せなどに使用可能で予約不要の「3部共用エリア」や、業務に没頭できる「集中ワークスペース」など、多様な働き方を選択できる環境を整えました。

〇下水道局
経理部

 部内各課の特徴として、日常的にお客さま対応や事業者対応が多いことから「個と組織の共創空間の実現」をコンセプトとして、メリハリのある働き方が可能になる空間を整備しました。
 複数による対面対応や、個人が集中して作業を行うことを想定し、ソファ席やカウンター席を設置するなど、業務内容に応じて働く場所を選択できる環境を整えました。

施設管理部(台帳閲覧)

 下水道台帳を閲覧しにお客さまが来庁する台帳閲覧室では、「つながる」をコンセプトに、お客さまと職員がつながる環境を確保できるオフィスを整備しました。
 お客さまと職員がコミュニケーションを取りやすい配置とし、閲覧スペースにはお客さまが利用しやすい広さや形状のテーブルを設置する等、利便性や快適性の向上を実現しました。

〇都市整備局
都市基盤部

 「働きやすく、居心地の良い快適な空間の構築」をコンセプトに、打合せや会議の多い当部でも柔軟に働きやすい環境を目指しました。
 Web会議ブースや集中ワークスペースなど、使用目的や内容に合わせて業務ができる多様なスペースを設けました。

〇交通局
総務部

 新しいオフィスでは、コミュニケーションを促進するために多くの打合せスペースを設けました。中央のソファ席や眺望の良い窓側席など、多様なスペースを整備し、業務内容に応じた柔軟な働き方をサポートしています。
 さらに、突発的な打合せにも対応できるよう、キャスター付きの机を多数配置し、フレキシブルな環境を実現しました。

職員部

 「多様な働き方を実現(メリハリ、フレキシブル、壁のない)」をコンセプトにしました。コミュニケーションを活発にするため多彩な打合せスペースを配置するとともに、カーペットの配色を工夫し、打合せ参加者に案内しやすくしました。
 また、Web会議ブースや集中ワークスペースを設置して、メリハリのある働き方ができる環境を整えました。

レイアウト検討・各種契約準備【4期・5期・6期】

 オフィスレイアウトの検討に当たっては、「外部との打合せが多いため通路側に打合せスペースを設置したい」、「什器やカーペットの配色によってゾーニングを行いたい」など、各部門の要望をヒアリングします。その要望を毎週実施する定例会でオフィスレイアウトに反映し、自分たちの部門にとって最善のレイアウトとなるよう検討を重ねました。
 レイアウト決定後は、オフィス整備のための契約手続を進めています。整備に際しては、什器の調達や転用する什器の運搬等に関する契約手続が必要になります。加えて、レイアウト変更に伴う回線工事契約を行うため、業務で使用する情報機器の配置図面を作成する必要もあります。

インプット・ワークショップ【7期】

 各整備部門の担当者が庁内の先行整備部門や先進的な民間企業のオフィスを視察するとともに、e-ラーニングで未来型オフィスでの新しい働き方を学び、整備に向けて視野を広げました。
 また、整備部門ごとにワークショップを開催し、従来オフィスの課題抽出や目指す働き方のコンセプトを設定した上で、新しいオフィスのレイアウトの方針を固めました。

(2) 未来型オフィスを支える新しいツールの導入  

 スマートフォン用Wi-Fi及びインターネット通信回線の強化の調達仕様書を作成しました。
 また、今年度、主に事業所に配付するコンバーチブルタイプ端末のマスタイメージについて、STEP3環境でのテストを実施し、完成させました。

今後の取組 (2024年10~12月)

  • 2023年度に整備した部門でのオフィスのバージョンアップに向け、課題に対する解決策を検討し、新たな什器の調達に向けた手続を進めます。
  • 2024年度の整備(4期~6期)を円滑に進められるよう契約・整備に向けた準備を進めます。
  • 2025年度の整備(7期、8期)について、オフィスレイアウト確定に向けた検討を進めます。
  • スマートフォン用Wi-Fi及びインターネット通信回線の強化の調達手続を進めます。
  • マスタイメージを各TAIMS端末に書き込み、今年度更新時期を迎える関係各局へ、順次、配備して行きます。

2 事業所

進捗状況(2024年7~9月)

サービス最前線の事業所で、QOSの向上を目指した業務改革にチャレンジ!

 東京都では、場所や時間を有効に活用した質の高い働き方への転換に向けて、すべての事業所でデジタルツールを活用した業務改革にチャレンジしていきます。サービス最前線の事業所で業務の生産性とQOSの向上を目指して、各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルを確立し、現場と協働して業務改革に取り組んでいきます 。

 先行事業所で業務改善の好事例を創出することに加え、これまでの各現場のチャレンジを幅広く紹介することで横展開し、業務改善の輪を広げていきます。

◆取組紹介:動物愛護相談センター多摩支所(保健医療局)

 動物愛護相談センター多摩支所では、一般飼い主が飼育する動物に関する相談対応を行っており、その相談対応に係る情報をデータベース上で一元管理することにより、事務の効率化を実現しました。
 同センターでは、これまで、相談対応に関する記録を手書き、または個票データで作成し管理していたことや、統計情報を手入力により集計していたため、情報管理が煩雑になるなど、事務処理に時間を要していました。そこで、ノーコードツールを活用し、職員自らデータベースの開発に携わることで、ボトムアップ型での業務改善に取り組みました。また、ツールについて、独自に勉強を進めることで、保守点検作業を内製化し、ローコストでの運用を実現しました。

データベース化の経緯_scp1

 データベースを導入することにより、所内での情報共有を効率化することや、過去の相談記録を迅速に検索することができるようになりました。また、相談記録をデータ管理へ移行したため、大幅なペーパーレス化も実現しました。

【データベース導入前後のイメージ図】

データベース導入前後の比較図_scp1

 この取組は、「ノーコード・ローコストで進めるDX」という取組名のもと、都庁DXアワード2024にエントリーし、デジタル10か条賞「ともに学び続けよう」賞を受賞しました。

 今後は、所内での勉強会をさらに実施していき、ツールの活用方法を普及していくとともに、様々な業務にノーコードツールを導入して、さらなるDX化を進めていきます。

今後の取組(2024年10~12月)

  • 2025年までに約600の全事業所でデジタルを活用したワークスタイル改革の実践に向けて、各局・各事業所と協働しながら、引き続き好事例の創出とその横展開を進めていきます。
  • 各職場が主体となった自律的な業務改革スタイルの確立を目指し、先行事業所とデジタルサービス局との意見交換を通じて、課題の洗い出しやデジタルツール等の解決策提案、技術フォローなどの協働を一層強化します。

3 システム基盤のクラウド環境への転換

進捗状況(2024年7~9月)

(1)都庁のデジタル環境の強化

 TAIMS更改(STEP3)の結合テスト、総合テストを進めています。

(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換

 クラウドインフラの要件確認が完了し、基本設計を進めています。
 また、関係各局への技術支援について、2025年度にクラウドインフラへの移行が見込まれる業務システムの技術支援を実施するほか、2026年度以降に移行予定の業務システムについても適宜、支援を開始しています。

(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供

  • ノーコード・ローコード開発ツールについては、講習会を実施しました。
  • 統合ID管理ツールについては、SaaSの利用管理及び認証に関する検討を進め、方針を決定しました。
  • 共有ファイルストレージについては、全庁のファイルサーバの現況調査を踏まえて各局と調整を行い、移行計画に反映させました。
  • 生成AIについては、更なる生産性の向上のため、メールマガジンによる周知を行うとともに、職員向けのアンケートを実施しました。また、特定行政分野のデータを用いた文章生成AIの利用検証を開始しました。

今後の取組 (2024年10~12月)

(1)都庁のデジタル環境の強化

 TAIMS更改(STEP3)の総合テストを完了させ、環境移行を実施していきます。

(2)都庁の業務システムのクラウドベースへの転換

 クラウドインフラの設計を完了させ、構築に着手します。
 また、引き続き関係各局への技術支援を伴走型で実施し、2025年度以降のクラウド転換を推進していきます。

(3)共通デジタルツール・プラットフォームの提供

  • ノーコード・ローコード開発ツールについては、より活用を進めるために講習会の改善に向けた検討を進めます。
  • 統合ID管理ツールについては、設計・構築を進めます。
  • 共有ファイルストレージについては、容量拡張と移行委託の契約手続を行うとともに、今年度移行部署と管理方法やアクセス権限の設定等の確認を進めます。
  • 生成AIについては、引き続きメールマガジンによる周知を行うとともに、職員向けアンケートの結果を分析し、更なる生産性向上のための生成AIツールの検討を進めます。また、特定行政分野のデータを用いた文章生成AIの利用検証の効果分析を行い、2025年度以降の環境改善に活用していきます。

4 場所にとらわれない柔軟な働き方の推進

進捗状況(2024年7~9月)

  • 6月から7月にかけて実施したテレワークに関する職員満足度調査の結果を公表しました。      テレワークについて総合的に満足・やや満足と回答する職員の割合は約79%で、2023年度の前回調査時から約6%増加しました。

  • 7月から9月までのライフ・ワーク・バランス推進月間において、「柔軟で多様なワークスタイル例の紹介」や「テレワーク活用による最適な働き方に向けた取組・TIPs集」を周知しました。
  • また、熱中症対策として、暑い時間を避ける多様な働き方を推進するため、テレワークやオンライン会議の活用などを呼びかけました。
テレワークの活用やオンライン会議の周知_scp1

今後の取組 (2024年10~12月)

  • テレワーク活用による最適な働き方に向けたノウハウの習得を目的に、管理職及び管理職候補を対象とする講習会(動画配信)を実施します。